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デムーロ、戸崎圭太が語る騎乗哲学。
「競馬、難しい」「ゾーンに入った」
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byKeiji Ishikawa
posted2017/10/19 11:00
今年の騎手リーディングは戸崎、ルメール、デムーロの完全な三つ巴。最後に先頭に立っているのは誰なのだろうか。
戸崎圭太が“ゾーン”に入っていた1つのレース。
2014年から3年連続リーディングジョッキーに輝き、今年も最多勝争いでトップを走る戸崎圭太騎手に「自分の理想に最も近かったレース」を訊ねたら、こう教えてくれた。
「昨年末の最終日。有馬記念があった日の、第1レースですね」
12月25日、中山競馬場。戸崎はリーディング争いでクリストフ・ルメール騎手を1勝差でリードした状態で、2016年最後のレース開催日を迎えていた。第1レース、7枠13番のセイウンストリームに跨った戸崎は、不思議な感覚でゲートに入った。
「あの日は“ゾーン”に入っていたというか、すごい空間にいるような感覚でした。後半のレースでクリストフが人気馬に乗ることはわかっていたので、これは落とせないぞって。ここで結果を出さなければ、リーディングになれないという状況の中で、ものすごく集中できていた。どんなレースでも、あの感覚になれればいんですけどね(笑)」
ゲートが開くと、抜群のスタートで先頭に立った。道中でも他馬を寄せ付けず、直線ではさらに突き放す。終わってみれば、5馬身差での圧勝だった。戸崎は続く第2レースでも勝利し、見事にリーディングジョッキーの座を勝ち取った。
「リーディングを争っていると、お世話になっている厩舎のみなさんは、最終日にできるだけ良い馬に乗せようとしてくれます。レースが始まってしまえば1人ですけど、周りがいてこそ勝ち得たものなので。あらためて、僕はたくさんの人に支えられて結果が出ているなって感じますね」
パドックからゲートまでの姿を見るのが楽しみになった。
2人のジョッキーの話を聞き終えて、パドックからゲートが開くまでの馬と騎手の姿を見るのが、すごく楽しみになった。
それならば。競馬特集の制作も無事に終わった10月8日、場外馬券場に出陣。モニターで、東京11レース・毎日王冠のパドックをじっくり観察してみる。素人編集者の目に、最も「シャイニング」に見えたのは、8番リアルスティール。しかも鞍上は、ミルコ・デムーロ。こうなりゃ、単勝1点勝負。果たしてその結果は……ミルコさん、ありがとうございました!