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Bリーグ川崎、激戦区で戦う危機感。
「突き詰められる環境」は大歓迎。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2017/10/07 07:00
Bリーグ開幕戦、川崎の会場にも多くのブースターが詰めかけた。地区が変わっても篠山や藤井らはその声に応えるのみだ。
「辻さんやニックだけに頼ってはいけない」
Bリーグファンなら、昨シーズン終盤からCSにかけての篠山の活躍は周知の通りだ。それは篠山が試合を戦う上で浮き彫りになった課題と、日本代表などの活動で得た刺激とヒントを練習の中でしっかり落とし込んだからだ。
他とエヴァオールジャパン2017決勝では大黒柱ファジーカスの調子が芳しくなく、辻も負傷で思うようなプレーができず、千葉ジェッツ相手に敗れた。篠山はそこで直面した課題に取り組んだわけだが、藤井にも好影響を及ぼした。
佐藤賢次アシスタントコーチはこう回想している。
「CSと(シーズン)後半戦、藤井選手と篠山選手がどんどん活躍していた。(辻やファジーカス頼みの攻撃を)克服しようとしたからでした」
藤井自身は、どのような心構えでいたのだろうか。本人に聞いた。
「練習後、(篠山)竜青さんと僕とで、色々と試行錯誤しながら、賢次さんに教わってやってきたんです。一番は辻さんやニックだけに頼ってはいけないという意識になりました。それによって、後半戦は徐々に取り組んできたことが自然と出せるようになったというか。それがやっぱり大きかったですね」
“川崎1強”だった昨季から一変し、激戦区へ。
藤井はもともとシューティングガード(SG)の選手だったが、川崎に来てから本格的にPGでプレーしている。それと同時に先にも触れたが、試合展開によっては篠山と同時にコートに立ちツーポイントガード、あるいはSGのような役割もこなす。
「昨季ファイナルでは流れが相手にあるときに、オフェンスリバウンドを取られてしまってさらに苦しくなった。バスケは本当に勢いや流れが勝敗に直結すると感じたし、今はそれを意識して取り組んでいます」(藤井)
その取り組みの中でアグレッシブな守備と、チームとして攻撃の形を増やすこと。藤井が体現したものは、明るい希望となる。
昨シーズンのレギュラーシーズンで最高勝率チームだった川崎は、半分以上の試合で10点差以上をつけて勝利した。これはもちろん、リーグトップの成績だ。しかしそれは昨季所属した中地区が“川崎1強”状況だったとも言える。今季は、昨シーズンのCS出場5チームがひしめく激戦の東地区に移っただけに、そう簡単にはいかない。