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実は世界の100m走は遅くなっている?
日本人の五輪決勝は夢物語ではない。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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posted2017/09/16 08:00

実は世界の100m走は遅くなっている?日本人の五輪決勝は夢物語ではない。<Number Web> photograph by AFLO

ウサイン・ボルトは陸上界の基準そのものを大きく変えた。彼の引退は100m走にどんな影響を与えるのだろうか。

桐生の9秒台突入で、他の選手の可能性も広がる。

桐生祥秀 9秒98
山縣亮太 10秒03
サニブラウン・アブデル・ハキーム 10秒05
多田修平 10秒07
飯塚翔太 10秒08
ケンブリッジ飛鳥 10秒08

 山縣のタイムだけが昨年9月のもので、他の選手たちはすべて今年マークしているタイムだというのが日本の強みだ。

 桐生の9秒台突入によって、他の選手たちの「マインドセット」が変わるだろうと陸上関係者は予想しているが、風向き、気温などの条件さえ整えば、2018年に複数の選手が9秒台に突入する可能性はあると思う(もちろん、簡単なことではないが)。

 特にフロリダ大学に拠点を移すサニブラウンは、同じ大学生の9秒台の選手と走る機会も増えるだろうから、大きなチャンスがあるだろう。また、多田は後半の減速幅をいかに抑えるかという課題が明快で、国体後の冬の間にどんなトレーニングを積むかがポイントとなる。

 近い将来、世界の緩やかな曲線と、日本の上昇曲線が交差する日が来るのではないかと思う。

トップ選手の年齢構成も、日本を後押ししている。

 それには、年齢的な要素もある。

 世界の100mの世界では世代交代が進んでいる。ロンドン世界選手権のファイナリストの年齢を見てみよう(年齢は100m決勝時のもの)。

ガトリン(アメリカ)   35
コールマン(アメリカ)  21
ボルト(ジャマイカ)   30
ブレイク(ジャマイカ)  27
シンビーネ(南アフリカ) 23
ビコ(フランス)    25
プレスコッド(イギリス)21
蘇(中国)       27

 今後はコールマンが軸となり、シンビーネ、プレスコッドらの時代が到来するだろう。

 スプリンターの絶頂期が、どの年齢で来るのかは選手によってバラつきが大きい。ガトリンのように35歳で世界の頂点に立つ選手もいる。しかし、一般的には20代中盤に多くの選手は黄金期を迎える。

 2019年カタールのドーハで開かれる世界選手権、そして2020年の東京オリンピック。日本の選手たちが複数、100m決勝に駒を進めるのは、決して夢物語ではないと思う。

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