サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
現代サッカーにおいて、代表とは。
ハリル監督が示した新たな「定義」。
posted2017/09/06 17:30
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Takuya Sugiyama
9月5日、W杯最終予選の最後の試合となったサウジアラビアとのアウェーゲームは0-1で敗れることになった。
香川真司や長谷部誠は、ケガの影響もあってすでにチームを離脱していた。大迫勇也は、他の選手にチャンスを与えるというハリルホジッチ監督の方針で、ベンチ入りメンバーから外れた。
すでに本戦出場が決まっていて、酷暑の試合。まして、相手はW杯出場権を獲得するために目の色を変えている。
そんな試合に敗れたところで、過剰に楽観的になることも、何かを否定することもない。
気になったのは、12本のシュートを放ちながらも枠内シュートが2本に終わったこと。後半8分の原口元気、後半15分の岡崎慎司、後半43分の久保裕也と、決定的な形を作りながらも決めきれず、シュートが枠をそれてしまったことだろうか。
結局、25試合ぶりに代表はノーゴールのまま試合に敗れてしまった。
オーストラリアがタイに2-1という辛勝しかできずシリアとのプレーオフに回ったことを考慮すると、オーストラリアに勝ったことで日本代表の国内評価が上がったとしても実際の力が劇的に伸びたわけではないということは肝に銘じておくべきだ。
かといって、力量不足だというわけではない。そもそも代表を取り巻く空気は、絶賛と酷評の間で極端に揺れすぎる傾向があるのだ。
結局のところ、1年かけて戦う長丁場のリーグ戦の中には、ホームでUAEに敗れたような試合もあれば、オーストラリア戦のような試合もある、ということ。
そして、総合力に準じた順当な結果が残った……というのが客観的な事実なのだ。
内田篤人がブラジルW杯で輝いたのはなぜか。
思い出して欲しい、ブラジルW杯で一番輝いていたのは、誰か。
内田篤人があれだけ評価されたのは何故だったのか、ということを。
内田には、日本人で最も多くCLに出場した「個人としての経験」があった、ということだ。チーム競技としてのサッカーの質では、W杯よりもCLの方が圧倒的に高い。W杯での上位チームには、日常的にCLのレベルで戦っている選手がゴロゴロいる。