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「残念」ではなく「よく頑張った」と。
バドミントン山口茜、恩返しで優勝を。
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byYoshikazu Shiraki
posted2017/08/18 07:00
安定して強いイメージの山口だが、その強靭なメンタルの背景には、地元の多くの人達の温かい応援があった。
「残念だったな」ではなく「よく頑張ったな」。
昨年、リオ五輪直前の6月下旬から7月上旬にかけて、地元・勝山市の体育館で行われた全日本実業団選手権では、多くの市民が山口目当てに集まった。
平日でも立ち見が出るほどの盛況ぶりで、コートに姿を見せれば、どこからともなく、「茜ちゃん頑張って!」と大きな声援が飛んでいた。
山口は、いまや市民にとっても特別な存在なのだ。
リオ五輪の後、旧知の指導者や仲間たちからは「残念だったな」との慰めの言葉ではなく、「よく頑張ったな」と労いの言葉をかけられたという。
「でも、次は形のあるものを見せてあげたいですね」
3年後の'20年東京五輪では、ひと回りもふた回りも強くなった姿で、自分を支えるすべての人々を笑顔にしたいと思っている。
「頭を使って大きな人を打ち負かす楽しさを」
8月21日からイギリス・グラスゴーで開幕する世界選手権では初出場ながら第1シードで臨む。
同大会では'77年以来、日本勢40年ぶりの金メダルが期待されている中、果たしてどんなプレーを見せてくれるだろうか。
最新の世界ランキング(8月17日現在)で2位にランクインする山口に対し、当然ながら世界の強豪も様々な対策を練ってくるだろう。
「研究されても、そこをうまく使える選手と使えない選手、器用だったり不器用だったりっていうのもあると思います。もちろん、こちらも研究をしますが、相手よりも先に弱点を突くとか、逆に弱点を突かれないような配球をするとか、いろいろ考えることは増えますね。
もともと体が小さいのでいろいろなことを考えてプレーしていますが、頭を使って大きな人を打ち負かすのはバドミントンの楽しさの1つだし、醍醐味なのかなと思います」