沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
アドマイヤとサトノの競り合いも……。
セレクトセールは今年も最高額更新。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2017/07/12 12:00
5億8000万円という価格は、ペイするためにはGI勝利が最低条件というような設定だ。果たして彼はどんな走りを見せるだろうか。
アドマイヤとサトノが1000万円単位で競り合い……。
2日目は220頭の当歳馬が上場され、190頭が落札された。
こちらの最高落札額はさらに凄まじく、「イルーシヴウェーヴの2017」(牡、父ディープインパクト)の5億8000万円。仏1000ギニーを制した名牝の仔だ。販売者はノーザンファームで、購買者は「アドマイヤ」の冠でおなじみの近藤利一氏。昨年全兄を落札した里見氏との競り合いになり、1000万円単位で値が上がっていく。2006年の当歳セールにおける「トゥザヴィクトリーの2006」(牝、父キングカメハメハ)の6億円に次ぐ、日本のセール史上2番目の高額馬の登場に、場内は異様な雰囲気につつまれた。栗東・友道康夫厩舎からデビューする予定だ。
2番目に高かったのは「ドナブリーニの2017」(牝、父ディープインパクト)の3億7000万円。購買者は、クラブ法人に参入することを発表したばかりの(株)DMM.comと、新たな話題を振りまいた。
日本は伝統的に当歳馬の売買が多かったが……。
初日、1歳馬の落札総額は86億3450万円。2日目、当歳馬のそれは86億9250万円。上場頭数が20頭ほど少なかったにもかかわらず、当歳馬が上回った。
世界的には1歳馬のセールが中心なのだが、日本は、かつて庭先取引が中心だったころから当歳での売買が多かった。デビュー前までに故障してしまうリスクは大きくなるのだが、いい素材を早く手に入れて、長く自分の愛馬としておきたいという馬主心理からだろう。
セレクトセールでは、2011年に1歳馬の落札総額が当歳馬を初めて上回り、以降'14年を除いて昨年まで毎年1歳馬の落札総額のほうが多かった。それが今年逆転したのは、景気や、競馬に対する注目度がバブル期にいくらか近づいてきたからか。また、セール出身馬が高いレベルで活躍していることで上場馬のクオリティに対する購買者の信頼感が増し、さらに、管理技術が進歩して無事にデビューさせられる確率が上がったことなども影響していると思われる。