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ダービー最多勝武豊とデムーロが語る。
「今年の牡馬はすごくレベルが高い」
text by
別府響(Number編集部)Hibiki Beppu
photograph byNaoya Sanuki
posted2017/05/22 07:00
優雅にスパークリングワインを手にする武とデムーロ。今年のダービーではどんな手綱さばきを見せてくれるのだろうか。
「今年のオトコ馬はすごくレベルが高い」(デムーロ)
武豊 今年のダービーはどの馬が、一番人気になるかわからない。
デムーロ 今年のオトコ馬はすごくレベルが高いよ。春まではソウルスターリングやファンディーナがいて「牝馬が強い」と言われていたけど、違います。僕が皐月賞でペルシアンナイトに乗った時も、出走していた全部の馬にチャンスがあった。
武豊 確かに今年の牡馬は粒ぞろい。勝ったアルアインのタイムも皐月賞レコードだったしね。
「小粒」ではなく「粒ぞろい」という今季の3歳牡馬。百戦錬磨のジョッキーには、その実力がよく分かっているようだった。
一方で、数あるGIレースの中でも、やはり“ダービー”は別物。その雰囲気の中で走れるかどうかは、実力馬にとっても大きな問題なのだという。
「ダービーはやっぱり、どこの国でも特別」(武豊)
武豊 ダービーはやっぱり、どこの国でも特別だね。アメリカもケンタッキーダービーはすごいし、フランスもジョッキークラブ賞は特別だしね。
デムーロ 僕はドイツダービーも乗ったことがあるけど、すごいですよ。やっぱりダービーはドイツでもダービーでした。
東京(競馬場)の特徴としては、最後の直線が長い。直線に行ったときはまだ600mあるから。だから3コーナーは皆、行きたがらないね。
武豊 ダービーはみんな勝ちたいからだね。若いジョッキーなんかは仕掛けが早いよね。時々、「もう来るの?」ということがある。直線、600mあるのに!
デムーロ でも、今年のダービーは難しいね。みんなにチャンスがある。
武豊 しかもレベルは低くないし。お客さんにはぜひ、競馬場で見てほしいですよね。絶対、何年、何十年か経った時に「あの年のダービーを競馬場で見た」ことがきっといい思い出になるはずだから。まだ競馬場に行ったことのない人は、ダービーでデビューするのが良いと思う。それぐらい特別なレースだし、後になってすごくその日を覚えているはず。
デムーロ そうそう。僕も全部覚えていますね。スタートもスタンド前ですごく声が聞こえてくる。「デムーロ!」って(笑)。すごいね、あれは。手拍子も日本だけだしね!
名ジョッキー2人も期待する今年の3歳牡馬たち。その本当の実力は、今年で84度目を迎える、日本競馬界最高峰の大舞台でこそ見られるかもしれない。
その見所と2人の対談の全文は、Number927号「日本ダービー特集」でご覧ください。