ドイツサッカーの裏の裏……って表だ!BACK NUMBER
牛の首投げ入れられてもCL出場!
RBライプツィヒとレッドブルの蜜月。
posted2017/05/06 09:00
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph by
AFLO
首都ベルリンから南東へ約120キロ。チェコとポーランドの国境に接するザクセン州に属するライプツィヒは、旧東ドイツでは最大規模の文化・経済都市として栄えてきた。人口は昨年末の時点で約56万人、東京都杉並区と同程度。かの音楽家バッハが晩年を過ごした街であり、世界的な見本市が催されることでも知られている。
スポーツ都市としても有名だ。例えば、現在フランクフルトに本拠を構えるドイツサッカー連盟は1900年、この地で産声を上げている。東ドイツ建国の翌年にはスポーツ単科大学が建設され、数多くのオリンピック選手や一流の指導者を輩出。自国開催だった2006年のワールドカップでは、ツェントラルシュタディオン(ライプツィヒ中央競技場)が旧東ドイツ地区では唯一となる試合会場に選ばれた。
同地区のクラブから牛の首が投げ入れられたことも。
そんなライプツィヒが誇るスポーツ史に、新たな1ページが書き加えられた。ブンデスリーガ昇格1年目のシーズンを戦っているRBライプツィヒが4位以内でのフィニッシュを確定させ、来季のチャンピオンズリーグ出場権を手に入れたのだ。
UEFAから出場認可が下りれば、旧東ドイツのクラブでは初めて、欧州最高峰のコンペティションに登場することになる。前身のチャンピオンズカップ時代を含めても、ライプツィヒのクラブとしてはヒェミー・ライプツィヒ(後のザクセン・ライプツィヒ。'11年に消滅)以来の快挙だ。
面白くないのは“アンチRBライプツィヒ”を掲げる人々だ。RBライプツィヒのサポーターを除く、ドイツのサッカーファンはこのクラブを心底嫌っている。その嫌悪感はすさまじく、同じザクセン州に位置する古豪ディナモ・ドレスデンのサポーターはDFBポカール1回戦での対戦時、ピッチの脇に切り取った牛の首を投げ入れた。なぜ、牛を投げ入れたのか。RBライプツィヒを支える世界的企業のロゴマークだからだ。