プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
両国と福岡を結ぶ“アンダーボス”物語。
オカダのIWGP王座に挑むファレの野望。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2017/04/28 08:00
“バウンサー”の立場から、デビュー当初に名乗った“キング”へ戻れるかどうか……。
「ファレも、いろいろたまっていると思いますよ」
オカダvs.柴田勝頼のIWGP戦が終わったばかりの4月9日の国技館で、ファレはオカダを襲って、オカダをバッドラックフォールで高々と担ぎ上げて、リングに叩きつけた。
さらにKOしたオカダを踏みつけて、IWGPのベルトを誇示して見せた。
オカダは淡々とファレを分析する。
「ファレも、いろいろたまっていると思いますよ。デヴィットの陰に隠れたり、AJスタイルズの陰に隠れたり、いまはケニー・オメガがいますけれどね。インターコンチ巻いたり、ボクを倒したり、棚橋さんを倒したりしているレスラーですから、いいチャレンジャーだとは思います。でも、両国で防衛戦の後の雰囲気を壊されたことは、許さない」
オカダは強気だ。
「あれだけデカいですから、みんなが苦手意識あると思いますよ。一撃一撃が強力ですし、こちらが技を仕掛けるにも、なかなかできない相手です。別に、1回も勝ったことがないわけじゃないので。でも、やっぱり、戦うなら、やばいファレと戦いたいな」
「バッドラックフォール」というあまりにも豪快な技。
オカダとファレは昨年8月のG1クライマックス横浜大会で当たって、ファレがバッドラックフォールで勝っている。そして、9月の広島では、ノンタイトル戦だが、オカダがレインメーカーで勝っている。
あのドン・レオ・ジョナサンのハイジャック・バックブリーカーの体勢から、頭越しに相手を投げ捨てるバッドラックフォールは豪快だ。相手は重力には逆らえずに、長い滞空時間後に、キャンバスに背中や首を叩きつけられる。
2014年6月、初挑戦で中邑真輔からインターコンチネンタル王座を奪ったファレが、また初挑戦でオカダのIWGPも奪い取るというストーリーはどうだろう。
オカダが言う、ファレの胸にたまった4年間のうっぷんを、バッドラックフォールに込めて、オカダを投げ捨てる。