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ミランを買収した中国資本は大丈夫?
新時代を祝う人、不信感を表す人。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2017/04/19 17:00
李勇鴻がアジアから選手を獲得するとしたら、マーケティングの面でも中国選手の可能性が高い。本田圭佑の去就は果たして。
カペッロ「新経営陣はどうも信頼できない」
31年ぶりのトップ交代を名将カペッロはあまり喜ばしく受け止めていない。
「買収成立に時間をかけ過ぎだ。一気にまとめ上げたインテルの場合と異なる。この新経営陣はどうも信頼できない」
レジェンドOBの筆頭格バレージも「新オーナーは必ず苦労する。数多いタイトルを勝ち取った前会長ベルルスコーニ時代と確実に比較されるからだ」と懸念を抱く。
だが、チームの現場に新しい風が吹き込むのは間違いないだろう。
長くクラブの顔だった名物フロントのCEOガッリアーニは、一蓮托生だったベルルスコーニとともに退職した。
李新会長は余計な口出しをせず、新CEOマルコ・ファッソーネと新SD(スポーツ・ディレクター)マッシミリアーノ・ミラベッリに現場を一任する腹積もりだ。
両者はともに昨年までインテルで働いており、招聘にはOBや古参ミラニスタから反対の声が上がったが、ファッソーネとミラベッリは無視した。
2人は買収完了後から即実務に入れるよう、もう数カ月も前から補強候補のリストアップやスカウト作業を精力的に行っていた。前任者ガッリアーニが、2人へご丁寧に引き継ぎ作業をすることなどありえないからだ。
来季、イタリアのCL出場枠は4に増えるが……。
ファッソーネは早晩、モンテッラ監督の契約延長交渉に手をつけるだろう。古巣ローマからの引き抜きも予期されるモンテッラを続投させることは、李会長以下新経営陣の総意に基づくものだ。
47歳の新人SDミラベッリにとって現時点での優先業務は、経営陣が用意した資金を使っての、FWスソや守護神ドンナルンマの引き留め工作だ。夏の市場ではMFファブレガス(チェルシー)獲得も囁かれている。
今季の残り試合にEL予選出場権獲得をかけるミランだが、来シーズンの目標はすでに決定している。2018-19年シーズンからイタリアの出場枠が増えるチャンピオンズリーグへ返り咲くため、来季のセリエAで4位以上を確保することが至上命題なのだ。