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浅野拓磨、ドイツ移籍後初の2得点。
野心をかき立てる久保裕也の存在。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2017/04/12 11:40
浅野はサンフレッチェ広島時代にリーグ戦2ケタ得点を記録していない。だからこそ、ドイツで得点意欲をさらに高めている。
左で崩して、右サイドの浅野で仕留めるという形。
果たして、27分の先制弾はインスアとマキシムが左サイド深くまでボールを運び、サポートしたゲントナーがクロスを送ることから生まれた。テロッデの背後からゴール前へ侵入した浅野は、左斜め後方からのクロスをしっかりとヘディングでとらえる。
オフサイドぎりぎりのポジションから放たれた一撃は、GKにセーブするチャンスを与えなかった。試合後のボルフ監督も、浅野の動き出しとゲントナーのクロスを讃えた。
61分の2点目も、きっかけを作ったのは左サイドだった。中盤でのボール奪取からマキシムがタテへ突き進み、ペナルティエリア内まで侵入してシュートを放つ。GKが左手で弾いたボールは、右サイドからフリーで詰めていた浅野の足元へ転がってきた。あとはもう、右足で詰めるだけだった。
3月末のロシアW杯アジア最終予選で、浅野はUAE戦、タイ戦ともに出場機会を得られなかった。2連勝のチームでスポットライトを浴びたのは、リオ五輪世代の僚友・久保裕也だった。
「久保くんの活躍は、すごい刺激になります」
タイ戦後のミックスゾーンで足を止めた浅野は、「久保くんの活躍は、すごい刺激になります」と言葉に力を込めた。「代表に来るといつも、たくさんの刺激をもらうことができます。いまは早くチームに戻って、今回足りないと感じたところを練習したいですね」と続けた。
久保に刺激を受けているのは、浅野だけではない。3月のロシアW杯アジア最終予選後のリーグ戦では、ザルツブルクの南野拓実とマインツの武藤嘉紀がゴールを挙げた。
ADOデン・ハーグのハーフナー・マイクも、リーグ戦3試合連続得点をマークしている。クラブでの好調ぶりを代表へ持ち込んでいる原口元気(ヘルタ)や久保に触発され、ロシアW杯最終予選の予備登録メンバーが結果を残しているのだ。