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1-7大敗にめげない“シンデレラ”。
セリエ弱小クラブ、野心の結末は? 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2017/04/08 11:30

1-7大敗にめげない“シンデレラ”。セリエ弱小クラブ、野心の結末は?<Number Web> photograph by AFLO

今季セリエAでは26試合で5ゴール、6アシスト(30節終了時点)。アタランタ躍進を支える巨漢FWペターニャは代表にもデビューした。

アズーリに上り詰めた新鋭も鬼教官に感謝。

 監督から「戦術のキーマン」と重用される21歳のFWペターニャは、先月下旬にイタリアA代表デビューを果たした際、「今季先発起用してくれたガスペリーニ監督のおかげ。ゴール前でより貪欲になって期待に応えたい」と感謝の言葉を述べた。

「なら、もっとシュート練習に励め。反復練習こそテクニック習得の秘訣。ゴルフのスイングと同じだ」

 師匠ガスペリーニは、愛弟子のためにシュート特訓用の特注ケージを用意した。練習の新メソッドや道具の開発にも余念がない。

 ロッカールームは、ベテランの主将ライモンディかエースFWゴメスがきちんと仕切ってくれる。

 選手の出場停止処分や故障者の調整などチームマネージメントの部分でも、1年目のガスペリーニによる“勝ちにいく”チーム作りは軌道に乗っていた、はずだった。

 それだけに、インテル戦の大敗のショックは大きかった。

「7失点が何だ!」「意気消沈してんじゃねーぞ!」

 どれほど熱い地元の応援を受けても“勝てば官軍”がプロの世界だ。

 サン・シーロから北都ベルガモまでざっと50km弱。

「1-7」の後、チームバスに揺られながらホームタウンへ戻るアタランタ選手たちの胸中は暗澹とした色で塗りつぶされていたにちがいない。

 薄闇の中、バスはチームの離散場所であるジンゴニア練習場に差しかかった。

 何かが焚かれ、上空が赤く煙で染まっている。

 大勢の張り上げる声が聴こえてくる。

 何だあれは。

 選手たちの目に飛び込んできたのは、発煙筒を手にチーム旗を振り回しながら出迎える1000人以上のサポーターたちの姿だった。彼らは口々にコールしていた。

「7失点が何だ!」

「意気消沈してんじゃねーぞ!」

【次ページ】 ファンからの声援に「俺たち、まだ死ねないな」。

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