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平昌五輪会場で『君が代』を流した17歳。
新四大陸女王・三原舞依、強さの秘密。
posted2017/02/22 11:35
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Asami Enomoto
来季の平昌五輪の会場となる江陵アイスアリーナに、『君が代』が流れた。
流したのは、優勝を期待されていた男子シングルではなく、女子シングルの三原舞依だった。舞台は来年の五輪のテストイベントとして開催された四大陸選手権。若手のホープとはいえ、まだまだ国際的には名前を知られていない17歳の彼女の、初挑戦にして初タイトルである。
「自分が1位という立場にいることが、まだ信じられません。夢のようです」と三原は、優勝会見で頬を紅潮させた。
衝撃だったエース宮原負傷のニュース。
四大陸選手権が開催される1週間前、昨年のチャンピオンである宮原知子欠場のニュースが流れ、関係者の間に衝撃が走った。診断は左股関節の疲労骨折で全治4週間。3月末にヘルシンキで開催される世界選手権には出場する予定という。
四大陸はともかくとしても、ヘルシンキ世界選手権は平昌五輪の出場枠がかかる、4年間でもっとも大事な世界選手権である。
日本女子の来季の五輪3枠はどうなるのか――それは当然の懸念だった。
長い間日本女子を率いてきた浅田真央は、怪我で今シーズンは彼女らしい滑りが見せられなかった。樋口新葉など有望な新人が伸びてはきているが、シニアのトップクラスでどこまで戦うことができるかは、まだまだ未知数である。女子はこのところ、圧倒的に安定感のある宮原頼みというのが現実だったのだ。