プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
進化続ける女子プロレスラー紫雷イオ。
百キロ超級投げ。UFC戦士狩り。10周年。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2017/02/21 11:00
体重が倍の選手にジャーマンスープレックスをかけると、こう見える。一目瞭然の「命懸け」の瞬間。
紫雷が見ている、もっともっと先のリング。
「いままでやったことのないタイプの選手ですね。総合格闘技、UFC出身。格闘技のバックボーン。プロレスとはまた違った強さ。ナチュラルなパワーの強さもあるし。
見た目からして男みたいじゃないですか。そばで見ても体格から骨格から鍛え抜いていて。バイパーとは違った強さをもっている。そのなかで今回のV10、前回のV10でもいなかった対戦相手ですね」
紫雷はリング上でベイズラーに突然、首を絞められた。タッグの前哨戦でもスリーパーホールドでしめ落とされた。でも、ベイズラーが紫雷にとって人生を変えるような敵になるとは思えない。格闘技戦ではないが、格闘技戦の要素を含んだ試合になるのだろう。
紫雷はもっと先を見ている。
10周年という大きな節目の時が近づく中では異色のファイターとの戦いも通過点に過ぎないのかもしれない。
16歳でプロレスラーになった。この10年が紫雷にとって長いものだったのか、短く感じたのかはその時々で違うだろう。だが、プロレスラーとしての成長を感じることができた10年だったことは間違いない。
紫雷イオの目が輝きを増していた。