フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
四大陸男子でトップ3人が生んだ名勝負。
羽生結弦の貫禄と、才能溢れる若き2人。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2017/02/20 12:05
22歳、17歳、19歳と並んだ表彰台。新時代の良きライバルとして、これからの名勝負を期待したい。
尋常ではないプレッシャーに、見事耐えたチェン。
その一方で、SP1位プラス、羽生の演技の直後の最終滑走というプレッシャーに耐えながら、あれほどの演技をした17歳のチェンも称賛に値する。
「最終滑走は楽な位置ではない。でもユヅルの後に滑るのは、観客がエキサイトしてハッピーな状態になっているので、その直後に滑れるのは自分も嬉しい」とチェンは余裕のコメントを口にした。
コーチのラファエル・アルトゥニアンは、「ネイサンは戦士。3週間前に私たちは、この大会で絶対に表彰台に乗りたいので安全を期して4回転は3度にしよう、と話していた。だがいざとなれば彼はこうするだろうということはわかっていた」と打ち明けた。
これまでチェンを指導していて、プッシュしなくてはならなかったことは一度もないという。
「その逆で、いつも練習しすぎて怪我をしないよう、彼を抑えてきた」と語る。
その一方で、「自分はユヅルの大ファン。この4年間、男子の技術をプッシュしてきたのは彼だった」と羽生を絶賛し、記者会見後にアルトゥニアン自ら羽生にサインをねだるという微笑ましい一場面もあった。
トップ3選手がそれぞれの記録を残した、素晴らしい男子の戦いだった。