フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
四大陸男子でトップ3人が生んだ名勝負。
羽生結弦の貫禄と、才能溢れる若き2人。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2017/02/20 12:05
22歳、17歳、19歳と並んだ表彰台。新時代の良きライバルとして、これからの名勝負を期待したい。
では、羽生とチェンはどこが違うのか?
羽生と違うところは、チェンの4回転はもっぱらプログラムの前半に集中していることである。
またスケーティングの質、ジャンプの前後のトランジションなどは、羽生のレベルにはまだまだ及ばない。
だがまるで3回転のように4回転ジャンプをきめていく彼の技術は、怖いほどの能力である。
フリーは204.34で羽生に次いで2位。だが総合で307.46を出し、史上3人目の300点超えを果たして1位を保った。結局羽生は2位に終わり、宇野が総合3位という結果になった。
「限界に挑戦している感覚が好き」と羽生。
羽生は会見で、「正直、勝ちたかった。シニアの1年目から四大陸で銀メダルしか取れていなくて、これで3回目の銀メダル。ただ年々成長していると思いますし、年々やることも大変になって、自分の限界に挑戦している感覚が非常に好き。今回が一番楽しかった銀メダルだと思います」と語った。
演技前に何を考えていたのかと聞かれ、こう答えた。
「この滑走順は本当に得意で、5番、6番って非常に自信をもって試合に臨むことができていました。それプラス、公式練習から6分間練習の間の時間が短いことによって、本番の感覚がより研ぎ澄まされていたということがあった。だから自信があったし、自信があってリラックスしているプラス、ジャンプに対する執念とか、勝ちにこだわる気持ちだとかそういうものがいい具合にバランスよくなっていたのかなという気持ちがあります」
正直に言うと、この日の羽生のフリー演技は、逆転優勝に相応しいものだと思った。
だが羽生自身は、勝ったと思ったかと聞かれて「ぼくは(サルコウが)ダブルになってしまっているので、その点の点数差は間違いなく大きい」と冷静に分析した。