Jをめぐる冒険BACK NUMBER
大久保が前線から、林が後ろから。
2人が問題視するFC東京の「甘さ」。
posted2017/02/07 07:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
AFLO
それは、異例の挨拶だった。
昨シーズンのホーム最終戦、ベガルタ仙台を1-0で下したあとのセレモニーでFC東京のキャプテン、森重真人がファン・サポーターの前に立ち、こんな話をした。
「選手たちだけではなく、現場のスタッフ、フロントのスタッフ、FC東京という会社としてプロフェッショナルでなければ、ここで勝つことは難しいと思っています」
ともすればフロント批判とも受け取られかねないが、近年の成績を振り返れば、それを言葉にした森重の決意や覚悟が痛いほど伝わった。
2011年にJ2に降格した東京は1年でJ1に復帰したものの、その後10位、8位、9位と中位に終わる。'15年は過去最高成績となる4位に躍進したが、最終節で3位から滑り落ち、掴みかけていたチャンピオンシップの出場権を取り損ねてしまう。
「今年こそ」とリーグ優勝を目標に定めた昨シーズンも、監督を途中解任した末に9位に終わり、思い描いていたものとはかけ離れたシーズンだったのだ。
クラブ全体が本気で変わらなければ、タイトルは掴み取れない――。森重が訴えたかったのは、そういうことだろう。
今オフ、FC東京は異例の超大型補強を敢行した。
その点で、今シーズンの大型補強は、フロントからのひとつの解答と言えるかもしれない。
日本代表のDF太田宏介を2年ぶりに復帰させ、日本代表のGK林彰洋、元日本代表のFW大久保嘉人と永井謙佑を獲得しただけでなく、1月25日には元日本代表のMF高萩洋次郎の獲得を発表した。それだけでは飽き足らず、日本代表の清武弘嗣の獲得まで狙っていたのだから恐れいる。
清武はセレッソ大阪に譲ることになったが、さらなる外国人選手の獲得を模索しているというから、首都クラブの本気度が伝わってくる。