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畑岡奈紗17歳の米プロツアー初陣。
予選落ちは「強い選手」への一歩目。
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2017/02/05 07:00
ビーチを目の前に臨むコースで笑顔の畑岡。2日間で大会を終えたとはいえ、その経験値は今後の貴重な財産となる。
友達と2回ほど食事した以外、毎日練習していた。
午前中にラウンドし、午後にも練習とトレーニングをみっちり行う。ランジと呼ばれる片足ずつ行うスクワットに似たメニューにも取り組んで、下半身を徹底的に鍛えあげた。正月も休むことなく10日間、練習に打ち込んだ。
母・博美さんはこの時期の畑岡について、こう教えてくれた。
「今オフは、2回ぐらい友達と食事にいった以外、毎日練習していましたね」
博美さんは娘に「練習しなさい」と言った覚えは一度もない。
試合に出るようになった中学生の頃から、昼食を早めに食べてから練習場に向かい、日が暮れて誰もいなくなり練習場がもう閉まるというタイミングになるまで、自主的に練習してたそうだ。
この合宿を経てから、開幕戦初日の3日前のこと。南国らしいバケツをひっくり返したような激しい雨と雷のため、ゴルフ場の利用は一時中断した。ピタッと雨が止んで晴れ間が見え始めたお昼ごろから、選手は続々と練習場に姿を現し、その中に畑岡もいた。ストレッチをしてから1時間ほど球を打った後、18ホールを回った。
ラウンド中には他の選手が、畑岡に追いつき追い越しても、気に留めることはない。毎ホールのグリーンで、水準器で傾斜を計測してヤーデージブックにメモするなど、自分のペースでじっくり練習する。日が落ち始めて暗くなり始めた頃、やっと18番のグリーンまでたどり着いた。この日、畑岡が練習ラウンドを終えた最後の選手だった。
予選落ちして以降はビーチにも行かず、自主練。
畑岡に練習を嫌にならないかと問うと、クリッと可愛い目でこちらを見て、キッパリと答えた。
「やっぱり、うまくなりたいから」
大会では予選落ちして時間ができたこともあり、週末は練習場で自主練に明け暮れた。オフィシャルホテルの目の前に広がっているコバルトブルーのビーチには見向きもしなかったほどだ。
ただ最終日だけは練習を早めに切り上げて、10番から最終組について回った。ベテランのステイシー・ルイスのティーショットを後方から眺めたり、スター選手のレクシー・トンプソンがバーディーを決めたら拍手したりと、トップ選手のプレーを学びつつも楽しんで観戦した。