沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
キタサンが屈したサトノの組織力。
凱旋門賞ではチーム日本で勝利を。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2016/12/26 12:15
直線を向いてからは、上位3頭の力勝負に。最後はサトノダイヤモンドが外から差しきって1年を締めくくった。
サトノダイヤモンドの爆発力は、まだ成長途上。
来年は、凱旋門賞から逆算したローテーションを組んでいくと池江師は明言した。
「オーナーと相談し、春は国内に専念し、秋は凱旋門賞ということになりました。もっと背腰が安定して一本芯が通れば、もうひとつかふたつ上のギアが使えるようになる。そうすれば、爆発力が出てくると思います」
まだまだ強くなっている真っ最中で、これでも爆発力はついていないと指揮官は見ているわけだ。末恐ろしいが、世界制覇を託す存在としてはこの上なく頼もしい。
2着に惜敗したキタサンブラックは、併せた相手(ゴールドアクター)には抜かせないという自分の競馬はきっちりしていた。サトノダイヤモンドと馬体を併せる形になれば結果は違ったかもしれないが、間にゴールドアクターがいたのでやむを得ない。2キロ軽い55キロの斤量で走れる3歳馬のアドバンテージにやられた部分もあっただろう。
パドックからやや気負い気味で、この秋のピークは前走のジャパンカップだったかにも思われたが、それでも、驚異的な粘り腰で、ファンや陣営の期待に充分応えた。高いレベルでの安定ぶりは、さすがキタサンブラックと思わせるものだ。北島三郎オーナーも、凱旋門賞出走に前向きなコメントをしている。
タイプが違う2頭が同時に凱旋門賞に出れば……。
サトノダイヤモンドとキタサンブラックは、実力は近いが、タイプはまったく異なる。それだけに、ぜひ一緒に凱旋門賞に出てほしい。どんな流れになっても、必ずどちらか一方には有利に作用するはずだ。
この有馬記念に池江厩舎は3頭出しだった。また、ノーザンファームの生産馬が8頭と、実に半数を占めていた。その1頭であるサトノダイヤモンドが頂点に立った。同じように、日本馬が何頭も凱旋門賞に参戦して、レースを支配し、そして、どれかが先頭でゴールを駆け抜ける――それが、2017年の秋、現実のシーンになってほしいものだ。