沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
キタサンが屈したサトノの組織力。
凱旋門賞ではチーム日本で勝利を。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2016/12/26 12:15
直線を向いてからは、上位3頭の力勝負に。最後はサトノダイヤモンドが外から差しきって1年を締めくくった。
ダイヤモンドの進路を空けて走ったシュミノー。
武としては、もうひと呼吸かふた呼吸置いてからペースアップしたかっただろう。しかし、マクられるわけにはいかないので、そこから逃げ馬をつかまえに行った。フランス人ジョッキーの連係プレーはある程度想定していたとしても、手の施しようがなかった。武は言葉をつづけた。
「サトノノブレスは、あのままついて来るのではなく、内をあけて回ったでしょう。組織力の差が出ましたね」
確かに、パトロールビデオを見ると、シュミノーが何度も後ろを見て、僚馬サトノダイヤモンドの進路を塞がないよう注意しながら乗っているのがわかる。
4コーナーを回りながらキタサンブラックが先頭に立って、直線に入った。
直後の外に昨年の覇者ゴールドアクター、その外からサトノダイヤモンドもスパートをかける。
見た目以上の着差を生む、瞬間速度の差。
ラスト200m。先頭のキタサンブラックにゴールドアクターが半馬身ほど遅れながらも食い下がる。この2頭のワンツーで決着しそうに見えたが、ゴールまでの5、6完歩で、サトノダイヤモンドが、まずゴールドをかわした。そして、その内のキタサンに並んだ、と思ったら、もう追い越していた。
「クリストフには、キタサンブラックは馬体をくっつけて行くともうひと伸びするから、ちょっと離してくれと伝えました。そのとおりに乗ってくれましたね」と、歴代単独最多となる有馬記念4勝目を挙げた池江師は振り返る。
勝ちタイムは2分32秒6。
ルメールは、ゴールした瞬間、自分が勝ったことがわかったという。
「でも、首差だったのでびっくりしました。鼻差か頭差ぐらいだと思いました」
父のディープインパクト自身も、マカヒキなど、ほかの強いディープ産駒も、ゴールを通過する瞬間の速度が他馬と差があるせいか、見た目以上に着差がついていることがよくあるのだ。