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朝日杯が「2歳女王決定戦」になる!?
ミスエルテがフランケル時代を創る。
posted2016/12/17 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
2歳王者を決める第68回朝日杯フューチュリティステークス(12月18日、阪神芝外回り1600m、3歳GI)が近づいてきた。と、例年なら言っていいところだが、今年はちょっと勝手が違う。
本命視されている牝馬がもし勝てば、最優秀2歳牡馬のタイトルは未定のまま翌週のホープフルステークスを迎えることになり、それが実質的な2歳王者決定戦となるかもしれない。
今年の朝日杯を「2歳女王決定戦」にしようとしているスーパー女子は、2戦2勝のミスエルテ(牝、父フランケル、栗東・池江泰寿厩舎)だ。
先週の阪神ジュベナイルフィリーズを勝ったソウルスターリングと同じ「怪物」フランケル産駒で、新馬戦と前走のGIIIファンタジーステークスを圧勝した。とにかく末脚の破壊力が凄まじい。普段からカリカリした気性で、レースでも折り合いがポイントになるが、そのあたりは、調教で気性難をカバーする技術のある池江厩舎だけに心配ないだろう。
牡馬より1キロ軽い54キロを味方につけ、長い直線で外から一気に伸びるシーンが目に浮かぶ。
朝日杯はたびたび条件が変わっているので、牝馬の参戦に関するデータはあまり参考にならないのだが、勝てば1980年のテンモン以来36年ぶり、'84年のグレード制導入意向は初めての牝馬による制覇となる。
今年の2歳牝馬はハイレベルと言われており、2歳ダート王を決める全日本2歳優駿(12月14日、川崎ダート1600m、2歳交流GI)を制したのも牝馬のリエノテソーロだった。
牡馬の大将格はここには出走せず。
それに対して牡馬勢はどうなのか。現時点では、未勝利、サウジアラビアロイヤルカップ、東京スポーツ杯2歳ステークスと3連勝中のブレスジャーニーが大将格だと思われるが、ここには出てこない。
出走馬のなかで、ミスエルテと互角以上にやり合う可能性をもっとも強く感じさせるのはサトノアレス(牡、父ディープインパクト、美浦・藤沢和雄厩舎)だ。デビューから2-2-1-1着と連を外したことがなく、1戦ごとに走りの質を高めている。
特に前走のベゴニア賞は、抜け出す脚の速さに一流馬の片鱗が見られた。ディープ産駒ならではの成長力に加え、香港でもGIを制したオーナーと、阪神ジュベナイルを勝った厩舎の勢いが馬に伝わり、ここでも走ってしまうかもしれない。