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久保建英の世界観は今もバルサ目線。
欧州を目指すのと戻るのはどう違う? 

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2016/12/01 12:00

久保建英の世界観は今もバルサ目線。欧州を目指すのと戻るのはどう違う?<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

バルセロナの哲学は、久保建英の中にしっかりと根付いている。みなぎる自信のおおもとは、やはりそこにあるのだろう。

バルサの意向もあり、取材規制が敷かれている。

 この日の練習後も、一緒に荷物を運びながら、すでに歳が3つ、4つ上の先輩たちとすでに楽しそうに談笑する姿が見られた。彼が人に対して必要以上に物怖じすることはないという。

 謙虚さを常に感じさせる言動。と同時に、こうした振る舞いからは、堂々とした一面も伝わる。ある意味、相反する印象が共存しているところが、久保の魅力に映る。それは年相応ではないイメージとも言える。しかし、決して年増という意味ではない。むしろ嫌味などない、10代にして明晰な人間性という見え方だ。

 現在、久保には取材規制が敷かれている。FC東京の主催試合でも、カメラや記者の前に立つのは節目となる試合のみである。それは年代別の日本代表活動でも同様だ。

 関係者の話によると、18歳での加入が内定していると言われるスペインの名門・バルセロナの意向も反映されているという。欧州では、トップチーム所属前の10代の選手にメディア対応させる文化はあまりない。どれだけ将来有望な才能であっても、クラブは世間の過度な注目から守るという考え方が主流だ。

10代から注目を受ける日本文化に本人は?

 日本の報道文化は欧州とは違う。10歳でバルセロナに渡った才能を放っておくことはなく、要所で彼のプレーにレンズを向け、少ない機会ながらも彼の声や思考を記し、伝えようとする。若者に対する加熱ぶりには賛否両論あるだろうが、甲子園を代表とする学生スポーツ、さらには五輪人気も含め、若いアスリートに大きな注目が集まるのも、善し悪しを抜きにして日本のスポーツ文化である。浅田真央、福原愛、石川遼などは、皆10代から国民の眼差しを受けてきた。

 そんな世間の熱視線に対して、久保は先日こんな話をしていた。

「注目されて、うれしいとかそういうのはないんですけど、サッカー選手として今後やっていきたいと思ったときに、注目されなくなったら良くないなというのはあります。率直に言えば、今はまだ別にあんま注目して欲しくないなと」

 バランスの取れた発言。周囲の反応への冷静な態度と、プロとしての宿命を理解しているようなコメントである。何度も言うが、15歳である。すでに、自分の行く道を見通しているような心持ちを見ると、今後プレッシャーで潰れるのではという危惧も余計な心配のように思えてくる。

【次ページ】 強気な発言で目立った本田や柿谷との違い。

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