辻直人のB.LEAGUER DIARYBACK NUMBER
社員選手からプロになって5カ月。
辻直人が語るBリーグのワクワク感。
text by
辻直人Naoto Tsuji
photograph byKiichi Matsumoto
posted2016/11/09 10:30
川崎ブレイブサンダースは、B1リーグ中地区の首位を走っている。
最初からプロという選択肢があっても選べなかった。
プロ選手になって、5カ月ほどが経った。今年6月まで社員選手だった頃と、僕の環境は大きく変化した。以前は週に何度か出社し、作業着を着て仕事をしていた。そして、その後はバスケットの練習、そんな生活が4年以上続いていた。
在職中は本当にいろいろな方にお世話になった。同じ部署の方は、僕がプロになった今も会場まで応援に来てくれる。本当にありがたいし、心強い。そういう方々との関係は、これからも大切にしていきたいと思っている。プロ選手としてもっと成長する姿を見せたいし、見せていかないといけない。それが、これまでお世話になった方々への恩返しだからだ。
最初に社員選手としてチームに加入したとき、まさか数年後にBリーグができるなんて想像もしていなかった。それに、もしその頃そういう選択肢があったとしても、プロという道を選んでいたかどうかは分からない。おそらく、慎重に考える僕の性格だから、決断はできなかったと思う。どんなに頑張ってバスケットを続けたとしても、せいぜいプレーできるのは10年くらい。その先の人生を考えると、社員選手という選択が当時は自分にとってベストだと信じて疑わなかった。
優勝、MVPの自信がプロ契約の背中を押した。
そして、今年9月。Bリーグが発足するにあたり、チームとプロ契約を結ぶことになった。ただ、不安に思うことはなかった。僕らは昨シーズンNBLで優勝し、僕はプレーオフでMVPも獲得して、勢いに乗った状態だったからだ。
むしろ期待の方が大きかった。「やっとプロになったぜ! これからやってやろう!」。やる気だけが満ちあふれていた。
プロ選手としてあらたな道を歩み始めたとき、1人のバスケットプレーヤーとして辻直人の人生を考えた。
「現役を引退した後、自分はどうしたいのだろう」
そう自問自答すると、やっぱりずっとバスケットに関わりたいという気持ちが大きく占めていた。社員選手としてチームに加入した頃の自分とは矛盾するけれど、デスクワークしたり、営業したり……まったくバスケットと関わらない仕事をする姿が想像できなかった。それなら、プロ化をきっかけに変化し、今後さらに盛り上がるチャンスのあるBリーグにかけてみたかった。自分を試してみたかったのだ。
この先、どれだけ活躍するかどうかで、僕の人生も変わってくるだろう。活躍できなければ必要とされないのがプロの世界だ。そういった意味では不安も入り交じるがそれ以上にワクワクしている。
(構成:石井宏美)