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S・インザーギが蘇生させたラツィオ。
C・ロペス、クレスポも戦友に期待大。
posted2016/10/21 08:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
若さを武器に、ラツィオがセリエAの上位に喰らいついている。
16日の8節ボローニャ戦では3連勝を逃し、1-1のドローに終わったものの勝ち点はナポリと並んで4位タイに。
試合終了間際のPKでチームトップの今季5得点目を挙げたFWインモービレは「勝ち点2と2位を取り損ねた」と悔しさを隠さないが、両翼からエースを援護する21歳のFWケイタと23歳のMFフェリペ・アンデルソンとのプレー精度は試合ごとに高まっている。
「若くても仲間たちの能力は相当に高い。俺たちラツィオはもっと上のレベルでやれる」
ラツィオの平均年齢は26歳27日で、リーグで3番目に若い。怖れ知らずの選手たちと40歳の青年監督シモーネ・インザーギは、カンピオナートの伏兵として秋の長丁場に挑む。
ビエルサ招聘に失敗、若手選手は暴走。
つい数カ月前にクラブが陥っていた混乱ぶりを振り返れば、現在のラツィオの好調は奇跡のようなものだと思わずにはいられない。
新シーズンに向け新監督招聘を画策したロティート会長は、サンパオリ(現セビージャ)やプランデッリ(現バレンシア)に声をかけた後、“奇人”監督ビエルサと一度は契約を取り付けたが、プレシーズンキャンプ直前に関係は決裂。破談の原因が会長の不誠実さにあったことがわかると、老若男女5000人のラツィアーレ(=ラツィオ・ファン)たちがローマ市内の広場に大挙してくり出し、会長辞任を要求するデモ活動を行う騒動となった。
シーズン始動時は、ロッカールームもバラバラだった。
FWケイタは契約延長をめぐってフロントと対立。MFアンデルソンは、クラブが難色を示していた母国でのリオ五輪出場を認めさせるべく、合流日のメディカルテストを拒否しキャンプを事実上ボイコットする強行手段に出た。
ベテランFWクローゼや賢人カンドレーバといったロッカールームの精神的支柱を昨季限りで失い、若手選手たちは暴走した。7月上旬のラツィオは、チームとしての体をなしていなかったのだ。