野球のぼせもんBACK NUMBER
天敵ロッテ撃破で得意の札幌へ――。
SB柳田復帰で描くCS逆襲の青写真。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/10/07 07:00
柳田はレギュラーシーズン最終盤までに戦線復帰できなかった。だからこそ、CSの舞台に期するものは大きい。
フェニックス・リーグで復帰の柳田は走攻守とも万全。
また、帰ってくるといえば、柳田悠岐の復帰はこの上なく大きい。9月1日のライオンズ戦の守備で右手薬指を骨折。全治6週間の診断を受けていた。
「Sports Graphic Number 912号」にて『CS、間に合いたいっす』なる拙稿を書かせていただいたが、その言葉通りに10月3日のみやざきフェニックス・リーグで実戦復帰して最初の打席で安打を放って盗塁まで決める元気っぷりをアピールすると、翌日には「1番センター」で出場して“レーザービーム”で本塁アウトも披露。打っても5打数2安打、走って1盗塁と、準備を整えて6日から一軍に合流した。
さらにシーズン終盤は右肘痛で欠場が続いた今宮健太も5日のシート打撃で守備に就き、打撃ではヒットも放った。爆弾を抱えてのプレーにはなるが、本人はスタメン出場への意欲を燃やしている。
1stステージは6年連続で3位チームが勝利中だが……。
しかし、いくらホークスが札幌に乗り込んだ場合の話をしたところで、8日に開幕するファーストステージで敗退すれば何の意味もない。
相手はパ・リーグ3位のマリーンズ。正直、不気味だ。
'04年にプレーオフの名で現在のポストシーズン制度が導入されて以降、マリーンズは5度ファーストステージを戦い100%の突破率を誇っている。また、'10年から昨年までの6シーズン、ファーストステージを突破したのはいずれもシーズン3位のチームだ。'14年に最後の最後までリーグ優勝を争ったバファローズもファイターズに足元をすくわれている。
今季レギュラーシーズンで2位ホークスと3位マリーンズの差は12.5も離れていた。それを「下剋上」されてはたまったものではないが、何が起きるかわからないのが短期決戦。特に2戦先勝のファーストステージでは第1戦の重要性が増す。
先発予想はホークス千賀に対して、マリーンズは涌井秀章だ。好投手同士の投げ合いとなるが、先述した通り千賀がヤフオクドームでどのようなピッチングが出来るかがカギとなる。一方で涌井は今季のホークス戦2勝2敗。ヤフオクドームでは1勝0敗だが、防御率5.49とあまりよくない。短期決戦はロースコアの接戦になることが多いが、ノーガードで打ち合う派手な試合になるかもしれない。