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「王道」初優勝から「三冠」へ――。
全日本プロレス、無骨な王者・諏訪魔。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2016/09/26 07:00
「王道トーナメント」のトロフィーを抱きしめる諏訪魔。頑丈な身体と心を持つ優しきプロレスラーは、どういう方法で全日の栄光を取り戻すつもりなのか?
宮原の若さとバネ、諏訪魔の無骨な強さが激突!
一方、諏訪魔と入れ替わりで王者になって7カ月余が過ぎた27歳の宮原は、精悍さが増して荒々しくなった。
私は宮原には反体制的な輝きを感じている。
でも、観客とはまだ“スウィング”していない。
諏訪魔のいない間のワンポイントだったとは絶対に言わせたくない――という思いが宮原にはあるだろう。このまま遠慮することなく貪欲にアピールを続けていって、諏訪魔を引き離すつもりなのかもしれない。
宮原は三冠王者として、全日本プロレスの人気回復キャンペーンも率先して行っている立場である。
まだ決定ではないが、11月27日の両国国技館で諏訪魔の挑戦を拒む理由は宮原にはない。
たくましくなってきた三冠王者・宮原と、まだ足に不安が残る諏訪魔の戦いは、宮原が諏訪魔を蹴落とす絶好のチャンスにもなるだろう。
宮原の若くて生きのいいバネのある荒々しさと、諏訪魔の武骨な強さがぶつかる真っ向勝負を是非見てみたい。
それが観客の心を打てば、必ずや全日本プロレスの人気回復の糸口になるはずだ。
諏訪魔は一歩も引かないだろう。
宮原の目もギラギラと輝きを増すだろう。
時代は変わっても、答えは必ずリングの中にあるはずだから。