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山縣、桐生、ケンブリッジ以外も精鋭。
4×100mリレー、日本新と表彰台を。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2016/07/30 11:00
桐生、ケンブリッジ、山縣という中軸の3人はもちろん、現在の陸上短距離界は多士済々のメンバーがそろっている。
1走から4走まで、それぞれの強みを生かせる構成に。
また、各箇所に強みのあるメンバーぞろいでもある。山縣はスタートダッシュに定評があるから1走でその力をいかせるし、爆発力を持つケンブリッジは2走や4走でその力を発揮できる。また飯塚もこれまでリレーのときに務めてきた4走のみならず、2走でも適応できるのではないか。3走には、自身も「3走か4走がいいです」という桐生が想定される。もし、桐生をアンカーに起用するなら、200mも豊富にこなし、7月16日のベルギーでの大会において自己記録タイの20秒62で優勝したケンブリッジの3走、あるいはバトンの受け渡しに慣れている高瀬の起用も考えられる。
さらに、個々の選手の今シーズンでの持ちタイムを考えれば、アメリカやジャマイカに次ぐ位置に相当することも、期待を高める要因だ。表彰台を十分うかがうことができるだけの地力を築いている。
昨年5月の世界リレーでは万全でなくても3位を確保。
4×100mリレーは、上位進出という観点から見れば苦戦が強いられる種目が少なくない陸上にあって、それが望める数少ない種目の1つだ。
2008年の北京五輪で、塚原直貴、末續慎吾、高平慎士、朝原宣治の4名により銅メダルを獲得したのをはじめ、ロンドン五輪でも5位入賞(後にアメリカの失格処分により4位繰り上げ)を果たしている。
16カ国のみがオリンピックに出場できる4×100mリレーへの出場権を日本が獲得した昨年5月の世界リレー大会も、日本の実力を証明した場だった。銅メダルを獲得し、8位以内までが得られる五輪切符を手にした大会だったが、1位はアメリカ、2位はジャマイカ。アメリカはタイソン・ゲイ、ジャマイカはウサイン・ボルトら一線級のいる中での3位であった。しかも、このときの日本は、故障者が複数いたことで本来想定されるメンバーがそろわず、しかも現地入りしてからも1人が故障で欠ける状況にあったのだ。