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竹下佳江が率いる姫路のプロチーム。
彼女が次に壊すのはどの「常識」か。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2016/07/16 08:00
一度現役を離れながら復帰し、2004年には当時日本で唯一のプロ契約選手となった。竹下佳江は常識を越えていく。
初陣は天皇杯・皇后杯の兵庫ラウンド。結果は……。
一度社会に出た筒井、河合、片下の経験はチームのプラスになると考えている。
「3人は社会のしくみをちゃんとわかって、今は一人暮らしをしたり、ある程度自分で責任を持って行動ができるところまで来ているので、そういう選手が増えて、『私たちのチームは、一社会人として出てもやっていけますよ』という形ができたらいいなと思います。これから育成選手や学生をとっていくと、そういう部分も一から指導したり講習を受けさせたりしていきたいというのはありますね。私たちプロチームが、新たな仕掛けをやっていければと思います」
7月10日、ヴィクトリーナ姫路が初陣を迎えた。プロ契約の3人に、元久光製薬のミドルブロッカー平井香菜子や、姫路獨協大の選手を中心とした育成選手を加えた12人で、天皇杯・皇后杯全日本選手権大会の兵庫県ラウンドに臨んだ。
結果は、武庫川女子大学Bに敗れ初戦敗退。元Vリーガーが4人いるとはいえ、みなブランクがあり、チーム揃って練習ができたのも3日間だけという急造チーム。コンビやディフェンスの連携などをまだまだ詰め切れていなかった。
「想定内です」と試合後の竹下監督は冷静だった。
「自分もバレーボールをやっていた人間なので、そんなに甘くないというのは一番自分がわかっています」
現役時代に壁を越えてきた竹下の挑戦は続く。
それでも、「やっぱり負けるのは悔しいですよねー」と勝負師の顔がのぞく。
「自分たち、ほんとにナマイキですけど、予選突破したいという思いがあったので、選手もすごく悔しかったと思う。ただ、スタートを切らないことには何も始まらない。今ある中で必死にやっているところで、選手たちも一生懸命頑張ろうとしているので、その後押しをしながら、私自身も一緒に成長できたらいいなと思います」
チームはまだ本当に産声をあげたばかり。8月6日にトライアウトを行うなど、選手の獲得も指導もこれから本格化していく。
「最終的には地元の選手たちにもチームに入ってきてもらって、姫路全体で一緒に戦って、応援してもらえるようなチームを作っていきたい。そうなればいろんな意味で強いなと思うし、姫路の中で応援してもらえるチームでないと、私たちの価値はないと思っているので」
小柄な選手に対するレッテルや、プロ契約など、現役時代さまざまな壁をぶちやぶってきた竹下佳江が、次は監督としてバレー界にどんな風を吹き込むのか、注目だ。