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バクー開催の新F1GPの評価は?
トルコ、韓国、インドの轍を踏むな。
posted2016/06/19 11:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
6月17日、F1の長い歴史に新しい1ページが刻まれた。カスピ海に面する西アジアのアゼルバイジャンの首都バクーで初めてF1が開幕したからである。
初めて開催されるグランプリには、特有の高揚感がある。
「新しい場所に行くのは、いつも楽しみにしているけど、メキシコは格別だった。ドライバーズパレードでは、思わず鳥肌が立ったよ」
これは、初開催ではなかったが昨年、23年ぶりに復活したメキシコGPに参加したレッドブルのダニエル・リカルドの言葉である。
そのリカルドは、バクーで開催されるヨーロッパGPについても、次のようにコメントしている。
「これまでにない市街地コースを楽しみにしている」
リカルドだけではない。多くのドライバーが、バクーでのレースに期待を寄せていた。その理由はバクー市街地サーキットが、これまでの公道コースにはない低速区間と高速区間を組み合わせたユニークなレイアウトになっているからだ。
市街地コースなのに、最高速は時速340kmに達する!
今年のヨーロッパGPの公式大使としてすでにバクーを視察しているフェルナンド・アロンソは、バクー市街地サーキットの特徴を次のように説明する。
「市街地コース特有のタイトで曲がりくねったコーナーと、高速区間がうまくミックスされている。ランオフエリアが少ない市街地コースなのに、トップスピードは極めて高い。おそらく、最高速は時速340kmに達すると思う。エキサイティングでちょっとしたドラマが生まれるかもしれない」
アロンソが予測した時速340kmという数字がいかに高いかは、市街地コースのモナコの最高速が時速290km台だったこと、前戦カナダGPの舞台である高速のジル・ビルヌーブ・サーキットですら、最高速は時速340kmに達していないことを考えれば、容易に想像できるだろう。