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前田健太と新人の旋風。
新人王争い、最大のライバルは?
posted2016/04/23 11:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
前田健太が素晴らしいスタートを切った。期待していただけに、わがことのように嬉しい。3試合に先発して19イニングスで自責点1(防御率=0.47)という成績には惜しみない拍手を送りたい。
ドジャースの2番手スコット・カズミアーが3試合に先発して14回を投げ、防御率=6.43という不調に苦しんでいるだけに、球団にとっても前田は救世主的な存在だ。ザック・グリンキーの抜けた大きな穴を彼が埋めている、といっても過言ではない。
もうひとつ、19イニングスで4四球(うち、敬遠が1)という数字にも注目しよう。剛球派ではない前田が大リーグで生き抜くためには、なんとしても制球力が求められる。裏を返せば、この数字は、彼の高度な投球術と強いメンタル・タフネスの証明だろう。
前田をしのぐ数字を残しているのは、いまのところフィリーズのヴィンセント・ヴェラスケスくらいだ(4月19日現在)。2試合に先発して15イニングスを投げ、防御率=0.00で奪三振が25個(!)。去年、アストロズで19試合に登板したので新人資格は失っているが、ペナント争いと無縁のチームにいる23歳の若手、というのが末恐ろしい。化ければ青天井かもしれない。
前田健太が新人王を獲得する可能性は十分にある。
となると、そろそろ予想されそうなのが「前田に新人王を」という声だ。もちろん、その可能性はかなり高い。いまのペースで投げつづけることができれば、年間200イニングスという大台突破もありうるだろうし、そうなれば出来高払いの金額がかしましく報道される事態も十分に想定される。
ただし、強敵は多い。
開幕直後、大リーグに旋風を巻き起こしたのは、なんといってもトレヴァー・ストーリーだった。
ストーリーは、ロッキーズの遊撃手だ。'92年11月生まれだから、まだ23歳。185センチ、82キロのサイズはそう大柄ではないのだが、この新人が、開幕4戦で6本塁打という離れ業を演じてみせたのだ。