ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
「出すぎた杭」松山英樹が変える物。
五輪の報酬と、不評の5試合ルール。
posted2016/04/22 07:00
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
AFLO
数字というものは、多くが正直であるはずだ。
4月のマスターズで、松山英樹が堂々と優勝争いに加わった。日本勢初のメジャー制覇はならなかったものの、TBS系列で連日放送されたテレビ視聴率は、大会3日目に7.6%、最終日に6.5%を記録した(いずれも午前5時以降・関東地区/ビデオリサーチ調べ)。
最終日は日本時間の月曜日、出勤時間帯の早朝放送となるため、3日目の中継のほうが数字は良い。前年の同時間帯は5.6%、4.6%。両日とも大きく上回る結果となった。
マスターズはこの数年で、独自にインターネットを介した放送や、録画映像をスマートフォンのアプリで即座に見ることができるシステムづくりが目覚しい。それを踏まえれば、潜在的な視聴者はこの数字にとどまらないだろう。
日本人選手が、近いうちにメジャータイトルを手にする――
勝負事だから、はっきり言って誰が言う根拠も曖昧だ。本人に数年前から夢に近づいている実感はあるのか? と投げかけてみても、緊張感から放たれた場所では「ぜんぜん。なんにも変わらない」と、あっけらかんとして言うのだが、松山は確かに、試合をこなすたびに僕らにそれを確信めいたものを感じさせている。
五輪の報酬がシード権でも、松山には関係ない?
何かに焚き付けられたようなざわめきは、国内ツアーの会場にも充満していた。
1月末から東南アジアで2試合を消化して迎えた国内での初戦、東建ホームメイトカップ。試合前日、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の松井功副会長が、報道陣を前に松山について言及する場面があった。
目下検討されている懸案事項が、4カ月後に迫ったリオデジャネイロ五輪での“報酬”に関する事案である。日本代表チームの丸山茂樹ヘッドコーチは昨年、メダル獲得選手に日本ツアーで複数年に及ぶシードを付与するプランを提案した。
おおむね前向きに話が進む中、青木功会長の右腕として期待される松井副会長は「まず松山くんをツアープレーヤーに戻すことを考える必要もある」と言った。