球道雑記BACK NUMBER
ロッテに足りなかった和製大砲。
今季こそ「あと一本」はうまれるか?
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byToshiya Kondo
posted2016/01/23 10:30
後に“史上最大の下克上”と呼ばれた2010年シーズンに活躍した大松。この時の日本シリーズでの怪我が、後に大きく響くことになった。
名打撃コーチの就任で長打力は向上するか。
東北楽天と並んでチーム本塁打数リーグ最下位の85を記録した昨年の千葉ロッテ。和製大砲どころか、そもそも大砲不在という突っ込みはおいといて、今年はその問題を解決するためふたつの策を施した。
ひとつめは二軍打撃コーチに大村巌の招聘、ふたつめは新外国人ヤマイコ・ナバーロの獲得だ。
大村は北海道日本ハムで糸井嘉男や中田翔を、横浜DeNAでは筒香嘉智の覚醒に深く関わった人物として知られる。千葉ロッテには今年、高校生内野手ナンバーワンの呼び声高い“ゴールデンルーキー”平沢大河が入団した。2月1日から始まる春季キャンプは一軍スタートが有力視されているが、プロの壁に当たり、思い悩んだとき、平沢の良き道標になれそうな大村の存在はなんとも心強い。また前述した大松尚逸の再生、伸び悩む若手・中堅選手の覚醒にも大村は力を貸してくれるだろう。その瞬間を期待して待ちたい。
また、韓国プロ野球・サムスンライオンズで昨年、外国人選手の最多本塁打記録を塗り替えたヤマイコ・ナバーロは“大砲不在”に悩む千葉ロッテの救世主となるだろう。彼を補強できたことで、放出した今江敏晃、ルイス・クルーズの穴もメドがついた。応援するファンにとってはなんとも朗報だ。
「最後の追い上げが良い経験に」(鈴木大地)
昨年の秋季キャンプ期間中にキャプテンの鈴木大地がこんなことを言った。
「(レギュラーシーズンの)最後の追い上げはこれからやっていく上でも良い経験になったと思います。シーズン途中、正直CSは厳しいんじゃないかって状況にいたので、最後に滑り込めたのはいい終わり方だったのかなって思います。あの戦いを最初からやれよとは、よく言われるんですけどね。それもひとつの考えだと思いますが、チームがひとつになれたのも、危機的な状況からあの戦いが出来たからだとも思うんです。だから、あれをいつもはできないかもしれないけど、長いシーズンの要所、要所で、それができれば必ず上に行けると思うんです」
昨年、「あと一本」が足りない場面を何度となく見た。そうした弱点をしっかり補強し、その対策も講じた今、新しい何かが生まれる、そんな予感がしている。