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井上は米進出目前、八重樫は激戦必至。
W世界戦に世界のボクシング界が注目。
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byGetty Images
posted2015/12/29 10:30
ナルバエス戦の圧勝から1年、井上尚弥が久々にリングに立つ。次戦はラスベガスになる可能性があり、見逃せない一戦になるだろう。
記録もかかるが、それ以上に記憶に残る激戦必至。
しかし八重樫は今回、あえてライトフライ級での再挑戦を選択した。
「みんな八重樫はライトフライ級では無理だ、と思っていると思う。でも自分はそう思わない。それを証明したい」
世界タイトルを3度防衛したフライ級ではなく、雪辱を期してのライトフライ級。周囲の反対を押し切ってまでの選択は、今回の一戦にかける八重樫の覚悟を示している。
王者のメンドサは前に出てくる好戦的なサウスポーだ。八重樫の能力からいえば、フットワークを使うという戦術も十分に考えられるが、松本トレーナーは「高い確率で打ち合いになると思う。あいつは止めてもいく。だからいい状態で打ち合いに入れるようにしたい」と言い切った。メンドサも「八重樫との試合は戦争になる」と日本の激闘王を真っ向から迎え撃つ心意気だ。
3階級制覇を達成すれば、日本では亀田興毅、井岡一翔に続く3人目の快挙となるが、記憶に残る男、八重樫の試合である。魂を削り合うような壮絶ファイトに記録は霞んでしまうだろう。