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リングを去ったボクサーと、残った偉大な記録たち。~クリチコ、メイウェザー、そして亀田兄弟~
text by
前田衷Makoto Maeda
photograph byKYODO
posted2015/12/27 16:30
興毅の通算成績は12年間で33勝(18KO)2敗。大毅は9年間で29勝(18KO)5敗だった。
間もなく終わる2015年。今回のこのコラムでは「去る人」と「記録」とをキーワードに、この1年のボクシング界を振り返ってみたい。
まず最新の「王座を去った大物」はウラジミール・クリチコ。11月28日ドイツ・デュッセルドルフで行われた世界ヘビー級タイトル戦でタイソン・フューリーに判定負けし、3本のチャンピオンベルトを一挙に失った。これが11年ぶりの敗北であり、19度目の防衛に失敗した。12年間に25度の防衛に成功した“褐色の爆撃機”ジョー・ルイスの記録に届かず。
新王者フューリーの祖国イギリスでは「歴史的な勝利」と大騒ぎだが、39歳の“ウクライナの巨人”クリチコも最近は精彩を欠いて退屈な試合が多く、ようやく来るべきものが来たかという感慨でしかない。「ボクシングではなくダンスのコンペを見ているようだった」とは、対立王者デオンテイ・ワイルダーの皮肉たっぷりの感想だ。そんな試合に6万もの大観衆が詰め掛けたというのだから、ドイツのファンも熱心。クリチコの敗北でヘビー級にスリルが戻るかどうかは怪しいところだ。