沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
本気度の高い外国馬vs.手薄な国内馬。
ラブリーデイ本命も、JCは混戦模様。
posted2015/11/28 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
「世界に通用する強い馬づくり」をスローガンに、日本初の国際招待レースとして創設されたジャパンカップ(11月29日、東京芝2400m、3歳以上GI)が、今年で35回目を迎える。
凱旋門賞で「圧勝か!?」と思わせる2着になったオルフェーヴルや、レーティング世界一の評価を得たジャスタウェイなどの走りが示しているように、今、日本馬の水準は世界トップレベルに到達しつつある。このジャパンカップを外国馬が制したのも'05年のアルカセットが最後。今年も日本馬が勝ち、世界を相手に10連勝となるのだろうか。
「ヨーロッパで、今年は日本馬が弱いという噂が広まっているようなので、強さを示したいですね」
ラブリーデイ(牡5歳、父キングカメハメハ、栗東・池江泰寿厩舎)が前走の天皇賞・秋を勝った直後の共同会見で、池江調教師はそう話した。
確かに、エピファネイア、ジャスタウェイ、スピルバーグ、ジェンティルドンナ、ハープスターの順で決着した昨年に比べると、日本馬の陣容は手薄と見られても仕方がない。
ラブリーデイは強いが、2400mでどうか。
しかし、それを補って余りあるだけのパフォーマンスを、今季のラブリーデイは発揮しつづけてきた。昨年まで3勝しかしていなかった馬が、中山金杯で重賞初勝利を挙げると、阪神大賞典と天皇賞・春こそ6、8着に敗れたが、あとは全勝。天皇賞・秋が2000mに短縮された1984年以降、同一年に宝塚記念と天皇賞・秋を制したのは、'88年タマモクロス、2000年テイエムオペラオーにつづく史上3頭目という快挙だった。
しかし今回は、池江調教師も、手綱をとる川田将雅も、2400mの距離に対する不安を口にしている。適性のない3000m以上の阪神大賞典と天皇賞・春をあえて使ったことにより、眠っていたDNAが覚醒した感のある同馬にとって、ベストはやはり2000mか。とはいえ、2400mでも、昨春のメトロポリタンステークス、2走前の京都大賞典と2勝しているし、'13年のダービーではキズナからコンマ4秒差の7着だから、そう悪くない。
ここを勝って、中距離界の「絶対王者」に君臨する可能性はかなり大きい。