「ジョーダンは、結構はっきり言うんですね」

　初日から3日連続でボギーを叩いたイーストレイクの5番は、520ヤードととんでもなく長いパー4。松山は「ティショットもセカンドも打ちづらい」と言うに留めたが、スピースは「5番は最悪のホール。ヘンリック・ステンソンが今年の全米オープンのチェンバーズベイの18番より酷いホールだよねって言ったので、僕もイエスって答えた。グッドショットを2つ続けても届かない。ノーチャンス。あのホールはひどすぎる」と酷評した。

　その話を松山に聞かせたら「ジョーダンは、結構はっきり言うんですね」と、やや驚き、ちょっぴり考え込んでいた。

　闘志の剥き出し方と抑え方。メディア対応の仕方、コメントの仕方、日本のスター選手としての在り方と米ツアー選手としての在り方。そして、いろんな意味での我慢の仕方。松山はひとつひとつ迷いながら、ゴルファーとして、人間として、成長しようとしている。

スピードは若者の特権である。

　まだフル参戦2年目の23歳。時間はたっぷりある。焦る必要はない？

「うーん。そうなのかな？」

　本当は急ぎたくてたまらない。スピースやデイらの立ち位置へ、早く自分も上がりたい。早く勝ちたい。どんどん勝ちたい。松山の本音は、やっぱりそこにある。

「ほら、いいでしょ、これ！」

　松山が自慢げに見せてくれたのは、大会の冠スポンサーであるコカ・コーラのボトルの絵柄のカバーが付けられたスマホだった。開幕前、大会関係者からもらったもの。そのカバーが使いたくて、そのカバーに合わせ、スマホそのものを大急ぎでグレードアップしたそうだ。

「スマホを変えると、設定とかも変えるのに時間かかるし、大変じゃない？」

　すると松山いわく、「1週間もあれば、全然大丈夫っすよ」。

　スピードは若者の特権であり、若者らしさの象徴だ。今季、スピースやデイの時代が瞬く間に広がり、瞬く間に彼らが世界一になったように、来季はヒデキ・マツヤマも――。

　そう思っているのは、デイだけでは決してない。