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ハミルトンはセナの記録に並べるか?
ベッテルとの攻防に注目の日本GP。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byAFLO
posted2015/09/24 13:00
イタリアGPの表彰台では一番高い場所にハミルトン、一段下がってベッテルが立った。鈴鹿でふたりの位置関係はどうなるだろうか?
鈴鹿で失敗すれば……メルセデスの苦境。
メルセデスAMGのトト・ウォルフ(エグゼクティブディレクター/ビジネス)は「シンガポールの特殊な路面とコースレイアウト、そしてわれわれには軟らかすぎたタイヤといういくつかの要因が組み合わさった結果ではないかと思っている」と楽観的だ。
もしも鈴鹿でも低迷が続けば、2015年のドライバーズ選手権の行方は風雲急を告げる事態となる。
なぜなら、市街地サーキットのシンガポールと中高速コーナーが多い鈴鹿はコースのキャラクターがまったく違うだけでなく、使用されるタイヤもシンガポールがスーパーソフトとソフトだったのに対して、鈴鹿はミディアムとハードという異なる2スペックとなるからだ。
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つまり、鈴鹿で失速した場合、ウォルフはもうコースやタイヤに敗因を求めることができなくなる。それはシーズン終盤戦での苦戦を意味する。
42勝のベッテルと40勝のハミルトンの戦い。
そうなると、注目したいのは前戦シンガポールGPで今季3勝目を挙げたベッテルの存在である。
今シーズン、メルセデスAMGが優勝を逃した3つのレースをすべて制しているのが、ベッテルとフェラーリだ。
ドライバーズ選手権で3位につけているベッテルと、トップのハミルトンとの差は49点。優勝25点の現在のF1では、この差は最短で2レースもあれば逆転できる接戦状態にある。
かつてセナとプロストが熾烈な戦いを演じた鈴鹿。
その思い出の地で、ハミルトンはセナに並ぶことができるのか。
あるいは前戦シンガポールGPでそのセナが持つ41勝を抜いて、通算勝利数で歴代単独3位(42勝)となったベッテルが逆転タイトルへ向けて本格的な逆襲に転じてくるのか。
通算41勝のセナが愛した鈴鹿で、42勝のベッテルと40勝のハミルトンがどんな攻防を繰り広げるのか。思い出に残るレースを期待したい。