プロレスのじかんBACK NUMBER
オカダ・カズチカは本当に現代的か?
天龍源一郎と通底する“プロレス観”。
text by
井上崇宏Takahiro Inoue
photograph byEssei Hara
posted2015/09/15 11:30
オカダ「リングに上がれば手加減しない。どうなっても知らない」、天龍「(オカダは)天下を取った人の気持ちがわからない」とそれぞれコメント。
完全に一致するオカダと天龍のプロレス哲学。
しかし。
前述したオカダのプロレス哲学の一端を、もう一度、今度はしゃがれ声で音読してみてほしい。
「お客さんに痛みが伝わらない技はやらないようにしています。どんなに痛くても、その痛さがお客さんに伝わらないんだったら意味がない。本当に痛くて、その痛みがお客さんにも伝わるのが、ボクの思うプロレス技ですね。どんなにキツい技でも、お客さんに伝わらなければ、そんな技で勝つのはナンセンス」
ぼくも音読してみて気づいた。ぼくの脳内の「漢・天龍」フォルダの中には、このオカダとまったく同じセリフが記憶されていることを。
そうなのだ。オカダ自身も、自分の少年時代の“記憶”を携えながら、現在の地位を築き上げてきたロマンチストなのである。