フットボール“新語録”BACK NUMBER
育成力に勝るのは部活か、ユースか。
ドイツが出した答えは部活だった!?
posted2015/09/10 10:50
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Getty Images
「私たちの学校には、サッカー選手が練習と授業を両立できるように時間割りを調整する育成コーディネーターがいる」
トーマス・バウアー(ゲザムトシューレ・ベルガー・フェルトの用務員)
育成が優れているのは高校の部活か、それともユースか。日本サッカー界において、常に投げかけられる問いだ。
この問いにおそらく正解はない。子供の性格や成熟度に応じて、最適な環境は変わってくるだろう。そこにいる指導者に依存するところも大きい。
ただし、議論が乱暴になることを承知で、あえて育成に成功しているドイツサッカー界を参考にするならこう分析できる。
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ドイツにおけるユースの環境は、日本の部活に近い――。
ドイツでは、クラブの下部組織と高校が手を組み、まるで日本の高校における部活のような環境が用意されているのだ。
W杯優勝メンバーに4人の卒業生がいた高校。
その代表格が、シャルケのスタジアムのすぐ隣りにある「ゲザムトシューレ・ベルガー・フェルト」である。
ドイツが2014年ブラジルW杯で優勝したとき、そのメンバーに同校の卒業生が4人も名を連ねていた。
ノイアー(バイエルン)、ヘベデス(シャルケ)、エジル(アーセナル)、ドラクスラー(ヴォルフスブルク)の4人だ。
他にも同校出身のカメルーン代表のマティップ、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表のコラシナツ(ともにシャルケ)がブラジルW杯に出場。同じくシャルケに所属するドイツU-21代表のマックス・マイアーや、ポーランド代表のボエニシュ(レバークーゼン)も卒業生だ。
ここであげた全員が「ベルガー・フェルト」に通いながらシャルケの下部組織でプレーし、のちにプロの階段を駆け上がって行った。同校はいわば世界最強の「育成校」である。
その秘密はどこにあるのか?