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福島千里、世界陸上で完全復活へ。
他者の目を振り払い、自分に集中を。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2015/08/20 10:10
日本選手権で100m、200mの二冠を果たし完全復活を印象付けた福島千里。リオ五輪の時は28歳、最高のコンディションで、最大の大会に挑む。
「ようやく霧が晴れてきました」
しかし長く苦しい時期は今、ようやく晴れようとしている。
福島千里を指導する中村宏之監督は、今年4月の織田記念でこう語った。
「ようやく霧が晴れてきました」
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その言葉のとおり、4月の織田記念の200mで優勝すると、5月のゴールデングランプリ川崎200mでは自身3番目のタイムとなる23秒11で日本勢最上位の4位。6月のアジア選手権100mは、追い風参考ながら11秒23と久々の好タイムをマークした。
「余裕があるように感じられます」
長らく続けてきたフィジカルの強化がようやく走りにいかされるようになり、福島自身も手ごたえを得ている。
同月の日本選手権では、タイムこそ伸び悩んだものの100、200mともに優勝。
そして、北京での世界選手権を迎える。
周囲の目に惑わされず、自分の走りができるか。
調子を取り戻しつつある福島だが、課題ははっきりしている。中村監督は、やはり織田記念のとき、「期待に応えようとして、力入りすぎるとだめなんですね」と語っていた。日本選手権でも、意識が過剰になる面があった。だから、周囲の目に惑わされずに自分の走りができるかどうかが鍵を握る。
そのキャリアの中で、福島のライバルと目される選手が何度か登場した。だが、いっときは競り合う局面があっても、結局第一線に居続けたのが福島である。
日本女子短距離の第一人者にとっての4度目の世界選手権は、復調をたしかなものとするための、重要な舞台となる。