球道雑記BACK NUMBER
ついに連敗をストップさせた西武。
'07年の苦境知る中村剛也らの威厳。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/08/06 12:10
この試合、ショートゴロでも全力で一塁へダッシュすることで、見事に安打をもぎ取っていた中村。勝負に対する意地を、若手に見せつけていた。
弱い選手とは、試合の様々な「味」を知らない選手。
今年の春、ラグビー大学選手権で6連覇の偉業を達成し、日本選手権では社会人トップリーグのNECグリーンロケッツに勝利した帝京大学ラグビー部の岩出雅之監督に、たまたまこんな話を聞いた。
「“強い選手”の反対の“弱い選手”ってどんな選手なのかを考えると、いろいろな味を知らない人ではないでしょうか。悔しい味も含めていろんな味を知っていくと、自分で考えられるようになります。もちろん、コーチであったり、側にいる人が優れた人なら選手をその気にさせてくれるでしょうが、最終的には自分でできるようになっていかないと強くはなれない」
連敗中の8月1日の試合後、栗山や中村とすれ違うと、2人は俯くことなく、むしろ悠然と西武プリンスドームの長い階段を登ってきた。指揮を執る田邊徳雄監督も同様だった。勝ったときも、負けたときと同じように、同じ気持ちでこの階段を登る。
冒頭に書いた中村剛也のコメントもそれならまず理解できる。それこそがいろいろな味を知る彼らだからこそできる振る舞いではなかったか。
選手会長の牧田は言う。
「連敗しているからと、そこでマイナス思考になっていたら結果もそうなってしまうので、プラス、プラスと考えないと良くならないと思いますし、まだまだ先は続くので悪いのを全部出し切って、あとは上に登っていくだけだと思うのでそれを信じてやっていくだけです」
一昨年の2013年は9月、10月の29戦で17勝10敗2分とし、CS地元開催に滑り込んだ埼玉西武。
8月5日現在で残り試合数は44試合になったが、ここからどう巻き返すのか注目したい。