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“スイーツ”と“ヒール”の間で。
真壁刀義、苦難のプロレス人生。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/07/23 10:55
ヒールとしての顔と、食レポをこなす“スイーツ真壁”の顔、そのギャップも彼の魅力だ。
「新日本に足りねえのはこれだ」
「歓声とブーイングはベクトルは違っても客が熱くなっているという意味では一緒なんだって。俺はこれでのし上がればいいんだって思ったし、新日本に足りねえのもこれだなって。正直、アパッチより新日本のほうが劣ってると思いましたからね。だからベルトを巻いても、ずっとチャレンジャーの気持ちでやってましたよ」
今でこそ人気が再燃している新日本だが、'90年代後半から'00年代前半は総合格闘技に押され、冬の時代を経験している。その流れが変わってきたのは、ヒールユニットのG・B・Hからベテランの天山広吉と越中詩郎を追い出し、自分がトップを張るようになった時期からだと真壁は言う。
「俺がヒールの先頭にいれば、客は俺のことを憎む。それにトップがブレなければ周りもブレないわけでね」
ブレない、とは妙なプライドや好かれようという色気を捨て去り、徹底的に憎まれ続ける決意を持つことだろう。ファンはその徹底ぶりと反骨心を評価した。プロレスに「熱」を求めた真壁の活躍ぶりは、誰の目にも明らかだったのだ。
いま、真壁が理想とするのは「対戦相手だけじゃなく観客の予想、会社、関係者、全員ぶちのめす試合」だ。新日の栄枯盛衰を目の当たりにしてきた生粋のプロレスファンであるからこそ、真壁の目には新日本の更なる進化が見えている。
「今の俺はトップ戦線から一歩引いてるように見えるかもしれないけど、常にNo.1を狙う気持ちはありますよ。俺が引っかき回したら――新日本は、もっと凄えことになりますよ」
下積み時代の苦労に裏付けられたその矜持に胸を打たれるインタビューの全文は、Number882号でお読みください。