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浦和レッズ 阿部勇樹×関根貴大
無敗ステージ優勝の快挙に思うこと。
posted2015/07/09 16:45
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Tadashi Shirasawa
1000万円以上するというティファニー製のステージ優勝トロフィーを挟んで、穏やかに撮影が行なわれている。
「それじゃ、2人でニヤッと笑ってみますか……」
カメラマンのリクエストを受けると、阿部勇樹はトロフィーを持って両手がふさがった後輩のわき腹をツンツン。変顔でも笑わせにいく。関根貴大は堪らず、のけぞって爆笑。33歳の大黒柱と20歳の新星が見せた微笑ましい光景に、その場の空気が一気に和んだ。
2015年6月23日、浦和レッズが第1ステージ優勝を決めたヴィッセル神戸戦の3日後。大原サッカー場には300人近い人々が詰め掛けていた。9年ぶりにリーグタイトルを手に入れた浦和レッズが、優勝後初めてファンサービスを行なったのだ。炎天下でサインや写真を求めるサポーターは、夏の太陽にも負けないほどの熱気を放っていた。
しかし、外の喧騒に反してタイトル獲得の当事者である2人は落ち着いている。謙虚で、浮つかず、ユーモアはあるが口数は多くない……。そんな似た雰囲気を醸す阿部と関根の第1ステージ優勝記念インタビューは、淡々と進んでいった。
「浦和レッズというのは、そういうチーム」
――あれだけの方々の期待を背負ってプレーするのは、簡単じゃないですね。
そんな最初の問いかけを、キャプテンの阿部は平然と受け止めた。
「だけど、まあ、もっとたくさんいますからね。はい」
埼玉スタジアムの熱気のなか、言い換えれば、とてつもないプレッシャーのなかでプレーを続けてきた阿部の言葉には、浦和レッズでプレーすることの宿命と責任が滲み出ていた。
史上初の快挙である無敗でのステージ制覇に対しても、特別な感情はなかった。
「もちろん、無敗が長く続けばいいと思います。だけど、ずっと戦ってきたなかで、正直簡単な試合はありませんでした。今後は、相手チームも土をつけようとモチベーションを高めてくると思うので、さらに努力していかないといけません。浦和レッズというのは、そういうチームだと思いますから」