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熱いサポーターと、熱い男の強い絆。
優勝請負人・那須大亮が語る浦和愛。
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/06/23 11:30
優勝を懸けた神戸でのアウェー戦に向けて選手を送り出す、前節の埼玉スタジアムに詰め掛けた浦和サポーターと、それに手を振って応える那須大亮。
アテネ五輪では主将を任されながら予選リーグ敗退。
2004年のアテネ五輪では、主将を任されながら「今でも脳裏に焼き付いているほどショッキングな試合」だというパラグアイ戦で大きなミスを犯して先制点を献上。リズムを崩したチームは、大事な大会初戦を落としてしまう。国内ではバッシングもあった。結局、日本チームは予選リーグで姿を消した。
それでも、那須は歯を食いしばって立ち上がってきた。
「立ち止まりそうになっても、へこたれても、半歩でも前に進むことができれば必ず成長につながる。常に同世代に日の当たる場所を歩んでいる仲間がいたし、色々なポジションをやって葛藤する時期もありましたよ。それでも自分がメンタル的に強くなって、必ずそれが先に活きるという思いでやってきたからこそ、今に活きているんです」
「大きな意味があった」ACLでの一発退場。
今季の那須が強い悔しさを味わったのは、3月4日に行なわれたアジア・チャンピオンズリーグのブリスベン・ロアー戦だった。1点ビハインドで前半を折り返したチームは、後半立ち上がりから猛攻を仕掛ける。そんな中で、51分に一瞬の隙が生まれる。相手選手が一気に抜け出したところを、那須が後ろからファウルで止めた。ホイッスルと共に主審の手がレッドカードを掲げる。チームはそのまま追いつくことができず、0-1で試合終了。グループステージ突破へ向けて大きな敗戦になってしまった。
しかし、このゲームを「自分にとってすごく大きな意味があった」と那須は言う。当然、退場処分になったことは良いことではないが、様々な気づきを得たという。それによって「メンタル的に成長できたし、リーグにつなげられた」と。そして3日後、リーグ開幕の湘南戦ではゴールを決めて借りを返して見せた。