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「縦に速い攻撃」を勘違いしている?
福西崇史が語る、ハリルJの課題とは。
posted2015/06/11 11:25
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph by
Takuya Sugiyama
ヴァイッド・ハリルホジッチ率いる日本代表が、2018年ワールドカップの出場権獲得に向けていよいよ本格的に動き始める。
6月11日にイラクとの親善試合を戦うチームは、その5日後、埼玉スタジアムでシンガポールと対戦。この試合がアジア2次予選の初戦となり、言うまでもなく2018年W杯の出場権獲得へとつながる重要な第一歩となる。もちろん、シンガポールは明らかな格下であり、この試合を取りこぼすようでは話にならない。問われるのは、内容である。
“内容”においてキーワードとなるのは、ハリルホジッチの監督就任以来、頻繁に使われている「縦に速い攻撃」だ。6月1日から始まった合宿は、徐々にメンバーを増やす形で約10日間の全日程を消化。3月に行なわれた2つの親善試合でも片鱗が見られた「縦に速い攻撃」は、どの程度の完成度まで高められたのか。イラク戦とシンガポール戦は、その成果が問われる2試合となりそうだ。
「縦に速い攻撃」がなぜ世界的なトレンドに?
ところで、日本代表のみならず世界のサッカー界においても“トレンド”となりつつある「縦に速い攻撃」とは、いったいどのような攻撃を意味しているのか。わかるようでわからないこの言葉について、元日本代表MFでサッカー解説者の福西崇史に聞いた。福西はまず、「縦に速い攻撃」が世界的なトレンドとなりつつある背景から説明した。
「サッカーの戦術は、時代とともに変わりますよね。数年前にトレンドとなったのは、バルセロナやスペイン代表が実践したポゼッション・スタイル。ボールを保持したまま相手を押し込み、パスワークで揺さぶってスペースを作り、そこを突いて決定機を生む。
そうしたサッカーの対応策として有効とされたのが、縦に速い攻撃。つまり、相手に押し込まれる前により高い位置でプレッシャーをかけてボールを奪い、相手の守備組織が整う前にショートカウンターを仕掛けてゴールを狙う。ポゼッション・スタイルの弱点を突くということに主眼を置いて生まれたスタイルで、今や世界的な強豪もそうした戦術に傾倒しつつあると思います」