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内田篤人「結局、レアルが上へ行く」
健闘ムードの陰で“差”を見つめて。
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/03/12 11:15

CL敗退はしたものの充実感を表明したチームメイトとは異なり、内田篤人は結果に現れたレアルとの「差」を見つめていた。内田が求めているのは、いつだって結果なのだ。
シャルケの希望を容赦なく砕いたロナウド。
内田が語った通り、序盤からシャルケの選手たちがいとも簡単に相手陣内の深い位置までボールを運ぶシーンが目立っていた。立て続けに放ったシュートは精度を欠くものだったが、勢いは確かに彼らにあった。そして、20分にバルネッタからのクロスをトラップしたフクスがGKの手をかすめてゴールを決めた。0-1とアウェーのシャルケが先制したのだ。
あと1点でファーストレグのビハインドは消える。試合は振りだしに戻るのだ。
ところがそれから数分もしないうちに、チョウポ・モティンクが足を抑えて倒れ込んでしまった。このカメルーン代表フォワードが治療のためにピッチの外に出て、シャルケが1人少ない状態でのレアルのコーナーキック。それをロナウドが頭でボールを押し込み、派手なガッツポーズを決めた。シャルケのリードは5分しかもたなかった。
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結局、チョウポ・モティンクは負傷交代を余儀なくされる。シャルケは、今季ブンデスリーガで最も多くのゴールを決めてきたフォワードを失うことになった。
「僕たちの戦いぶりについては誇りに思う」
そこからのスコアの推移はこうなる。
前半40分のフンテラールのゴールで2-1。
前半ロスタイムのロナウドのゴールで2-2。
後半8分のベンゼマのゴールで2-3。
後半12分のザネのゴールで、3-3。
そして、後半39分のフンテラールのゴールで4-3。
2度にわたってリードを奪ったものの、前半ロスタイムに同点に追いつかれた瞬間、あるいはベンゼマのゴールで初めてリードを奪われた瞬間に、シャルケの選手たちの心が折れていても不思議ではなかった。しかし、この日のシャルケはそこから逆転に成功し、あと1点で準々決勝進出を手にする状況を手繰り寄せた。
さらに、後半の42分にはサネのシュートが、後半ロスタイムにはヘヴェデスのシュートがレアルゴールを襲ったが、カシージャスの好セーブに阻まれた。
最後の1点は遠かった。マイヤーは「あと5分あれば」と悔しそうに語ったが、最終的にはレアルが2試合合計のスコアを5-4で準々決勝進出を決めた。奇跡は、起こらなかった。
「僕たちの戦いぶりについては誇りに思う」
そんなフンテラールの発言は、決して大げさではない。
「僕たちは勇敢にたたかい、ワールドクラスのチームを前にしても屈しなかった」
キャプテンのヘベデスの言葉も、虚勢を張ったものではないだろう。