ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
EURO予選1勝1分け1敗の“出遅れ”。
世界王者ドイツが抱える2つの難題。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2014/10/22 16:30
ポーランドに初めての敗戦を喫したドイツ。わずか3カ月前に世界の頂点に立ったドイツの覇権は、早くも去ってしまうのか。
実はサイドバックとフォワードが人材難?
実際、2016年にフランスで行なわれるEUROにはこれまでよりも8カ国多い24チームが出場できるようになったため、EURO予選でグループ2位に終わっても問題はない。ドイツが予選で敗退するのはさすがに考えにくい。
しかし――。
'00年代にかけてドイツ代表GKとしてゴールマウスを守り、現在は解説者を務めているレーマンの指摘には耳を傾ける必要があるかもしれない。
ADVERTISEMENT
「我々ドイツは、もはや優秀なサイドバックやフォワードを生み出していない。レーブ監督はこの課題に取り組まないといけない。そして、それは決して簡単なことではないのだ」
確かに、ミッドフィルダーに優秀な人材は増えているものの、他のポジションはどうだろうか。この国の伝統であるキーパーのポジションには絶対的守護神のノイアー以外にもタレントは生まれてきているが、サイドバックやフォワードの人材難は深刻なものになっている。
世界王者とはいえ5年後、10年先を見据える必要性。
'00年、'04年のEUROでグループリーグ敗退という悲惨な成績しか残せなかったことが、ドイツが育成に力を注ぐきっかけとなったのは有名なことであり、それが先のW杯の優勝につながったことに疑いの余地はない。
その一方で、W杯王者という称号を得た今、サイドバックやフォワードは“育てにくい”ということなのだろうか。
怪我というアクシデントが続いているだけだと楽観的に現状をとらえているだけでは、世界王者ドイツの5年先、10年先の未来は明るくはない。
ビッグゲームで味わった苦い経験が、改革の原動力になるということはよくあることだ。しかし、大きな成果を手にした直後に、数年先の未来に向けてのアイデアを練ったり、投資をすることが出来るかどうか。
いま、問われているのはドイツサッカー界のハングリーさなのだ。