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12年ぶり新潟開催のスプリンターズS。
混戦の短距離路線、カギは脚質か。
posted2014/10/04 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
秋GI戦線の皮切りとなるスプリンターズステークス。今年は中山競馬場が改修工事中のため、2002年以来12年ぶりに新潟の芝内回り1200mで行なわれる。
新潟競馬場は芝外回りコースの直線が659mと日本一長いことで知られているが、内回りの直線は359mしかない。中山の310mとそう変わらないうえに、中山のように坂があるわけではなく平坦なので、先行有利の傾向が強くなる。
12年前にここで行なわれたスプリンターズステークスの上位3頭の3、4コーナーの通過順を見ると、勝ったビリーヴが3-3、2着のアドマイヤコジーンが2-2、3着ショウナンカンプが1-1だった。先行した3頭が、4着を4馬身突き放してフィニッシュしたのである。
日本の、いや、世界のスプリント界に君臨していた「絶対王者」ロードカナロアが引退し、混戦模様となっただけに、そうした脚質によるコース適性が勝敗を分ける可能性も充分にある。
非凡なスピードが新潟で活きそうなハクサンムーン。
といったことを念頭に出走馬を見わたして、まず目にとまるのは、やはりこの馬、ハクサンムーン(牡5歳、父アドマイヤムーン、栗東・西園正都厩舎)だ。
昨年のこのレースでは果敢に逃げてロードカナロアの2着だった。ゴールまであとわずかのところでかわされたが、非凡なスピードを見せつけた。
新たな鞍上として戸崎圭太を迎えた前走のセントウルステークスではハイペースのなか2番手に控え、2着。敗れたとはいえ、半年ぶりの実戦で、流れ次第で位置取りを変えられる柔軟性を見せたことは評価できる。追い切りの動きも力強かった。
「タイトルを獲らないと、かつて好勝負したロードカナロアに申し訳ない。カナロアのためにも勝ちたい」
と西園調教師は自信をうかがわせる。
ゲートからの1歩目はあまり速くないので、包まれにくい7番枠は歓迎だ。
ここで悲願の初タイトルを手にし、12月14日の香港スプリントで、世界の頂点を狙う。