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超高校級が不調でも豊作の大会に!
甲子園で輝いた有望株50人総まとめ。  

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byHideki Sugiyama

posted2014/08/29 11:10

超高校級が不調でも豊作の大会に!甲子園で輝いた有望株50人総まとめ。 <Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

甲子園に衝撃を与えた健大高崎の4番・脇本直人。豪快なスイングと走れる足を兼ね備える稀有な選手だ。

投手は、前評判の高かった超高校級が不調だった。

 投手では、前評判の高かった超高校級は不調だった。

 プロ注目の松本裕樹(盛岡大付)は、岩手大会からおもわしくなかったヒジの状態が本大会ではさらに悪くなり、変化球を多投するしかない状況に追い込まれてしまった。初戦で優勝候補の東海大相模を変化球のキレとコントロールで退けたところが限界。3回戦では強打を誇る敦賀気比戦に先発し2回3分の2を投げ、被安打10失点9で降板した。

 しかし、複数の投手を抱えるチームに見どころある選手が多くいた。東邦の大井友登(3年)と藤嶋健人(1年)、星稜の岩下大輝(3年)と谷川刀麻(2年)、山形中央の石川直也(3年)と佐藤僚亮(2年)、東海大相模の青島凌也(3年)と吉田凌、小笠原慎之介(2年)など上級生と下級生の組み合わせが多いのが特徴で、他の継投策のチームにも吉田嵩(海星3年)、逢沢峻介(関西3年)、持田隆宏(開星3年)という大会前には注目を集めていなかった好素材も見ることができた。

 逢沢は外野手として2年春にも甲子園に出場しているが、マウンドに立ったのは2回戦の高知戦の1回3分の1だけである。それが今大会では、初戦の富山商戦の先発マウンドを踏むと、相手エース・森田駿哉(3年)と遜色のない投球を展開。1-3で敗れたが、5回まで3安打、1失点に抑え、投手としての可能性を存分に見せてくれた。

 以上に挙げた14人に、飯塚悟史(日本文理3年)、平沼翔太(敦賀気比2年)、岸潤一郎(明徳義塾3年)、佐野皓大(大分3年)、山城大智(沖縄尚学3年)を加えた19人が今大会、私が注目した投手である。

プロ顔負けの強肩が揃った捕手。

 捕手でよかったのは次の6人だ。

◇捕手
柘植世那(健大高崎2年)、守屋元気(春日部共栄3年)、岡田耕太(敦賀気比3年)、吉田高彰(智弁学園3年)、太田光(広陵3年)、清水優心(九州国際大付3年)

 イニング間の二塁スローイング(攻守交代のときに行なわれる投球練習で、最後の1球を捕球した捕手が二塁に送球すること)で、強肩のバロメータと言われる「2秒未満」を、ここに名前を挙げた全員が計測している。

 岡田は1.79秒(坂出商戦)、守屋は1.81秒(龍谷大平安戦)、吉田は1.81秒(明徳義塾戦)、清水は1.87秒(東海大四戦)という具合で、数値が落ちることの多い実戦では、岡田が1.87秒(春日部共栄戦)、太田が1.95秒(三重戦での二塁けん制)というプロも真っ青の好タイムを計測している。

 この中で1人選ぶとすれば2年生投手をリードして準決勝に進出した敦賀気比の岡田だろう。バッティングもよく、互角の勝負が予想された2回戦の春日部共栄戦では1回裏、三塁に走者を置いてバックスクリーンに先制2ランを放り込んでいる。そのあとの打席で1四球、2死球と徹底的に勝負を避けられたのは強打者の勲章と言っていい。

【次ページ】 内野手は上位校の中に目立った選手が多かった。

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