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GI馬4頭出走の豪華GII札幌記念。
凱旋門賞をにらむ2頭はどう走る?
posted2014/08/23 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
GI馬が4頭出走し、うち2頭はここをステップに世界最高峰の凱旋門賞に向かう――。
ということで、節目の50回目を迎える札幌記念(8月24日、札幌芝2000m、GII)は、例年以上に大きな注目を集めている。
一番の見どころは、このあと凱旋門賞に向かう2頭、ゴールドシップとハープスターの初対決だ。
かたやGI5勝の実績を持つ歴戦の5歳牡馬。かたやこの春桜花賞を勝ち、オークスで2着になったばかりの3歳牝馬。人間で言うなら、絶頂期を迎えた20代なかごろの男と、伸び盛りの19歳ぐらいの女の子の対決である。
勝つのはどちらか。
気持ちの立て直しに成功したゴールドシップ。
私は、今回はゴールドシップ(牡5歳、父ステイゴールド、栗東・須貝尚介厩舎)が有利だと見ている。
昨年の秋、京都大賞典5着、ジャパンカップ15着、有馬記念3着と未勝利に終わった走りから、競走馬としての緊張の糸が切れてしまったような印象さえ受けた。サラブレッドは500kgの気持ちの塊と言ってもいい生き物で、なかでもこのゴールドシップは難しいところを持った馬だ。
ある意味、体力的な問題以上に厄介なトラブルを抱えたかにも思われたのだが、この春、史上初の宝塚記念連覇をやってのけ、見事に復活した。
もちろん、厩舎関係者の日頃のケアが一番の要因だろうが、宝塚記念から鞍上に迎えた横山典弘の手腕によるところも大きい。宝塚記念のレース後、横山は、「お願いします、という気持ちで乗った」「互いに理解し合えた」「会話しながらゲートに行った」といったコメントを残した。この中間も、ゴールドシップの「機嫌」や「気分」に関するコメントが目立つ。
彼は、「ゴールドシップの気持ちに乗る」ことに成功し、気難しいゴールドシップを完全に手なずけてしまった。